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2021-08-20 00:00
(連載2)五輪があぶり出した日本問題の検証が重要
中村 仁
元全国紙記者
「今後の五輪改革につなげる提案」を読売はどう考えているのかが知りたいところなのです。日本自身の意思決定やガバナンス(組織統治)の問題も多く、「IOCに提案」したところで解決しません。日経新聞は「視聴率やスポンサーとの関係で、選手や観客の健康を犠牲にするのは本末転倒で、改める時期に来ている」(同)です。秋とか春に開催すべきです。その通りにしても、日本問題には触れていません。
検証すべきはまず、IOCが開催都市に対し、圧倒的に強い権限を持っている開催都市契約をどこまでチェックし、招致に臨んだかです。中止の権限はIOCが持ち、中止の際に賠償責任を負わない「不平等条約」です。政治的な動機から五輪招致の誘惑にはまり、事前チェックをしなかったのでしょう。真夏という開催時期も適切ではなかった。「この時期の東京は温暖で理想的な気候」と、虚をアピールした責任は誰にあるのか。さらに「原発事故からの復興宣言」「コロナ人類が勝利した証としての五輪」など、無責任な思い付きのスローガンも酷かった。安倍前首相の独断らしい「一年延期」は、今回の混乱が招いた最大の誤算です。「一年延期なら自分の任期中に開催できる」という政治的な計算が優先したのでしょう。それなのに、本人は知らんぷりです。メディアも本気で責任を追及していません。
「日本問題」とは、国家的な論点がいくつもあるのに、関係者ははぐらかし、国として事後検証をしないことです。今回の五輪に限ったことではありません。政権、政府は事後検証を嫌い、同じ過ち繰り返す。「五輪開催とコロナの感染拡大は無関係」という首相らの説明も無責任です。専門家会議の尾身会長が「いや関係はある」と国会で述べています。緊急事態宣言をしながら五輪を開催すれば、国民の危機感も薄らぎ、行動自粛がお座なりになるのは当然です。
主要国で最悪の財政状態なのに、予算管理はずさんです。初めは「簡素な五輪だから」といって安心させ、そのうち当初予算の7300億円が1兆6000億円に膨らみ、関連経費を含め3兆円に達する。IOCは「我関せず」。第三者委員会などによる事後検証は不可避です。「競技そのものは成功したので、五輪は成功した」式の短絡した議論は封印しましょう。恐らく菅政権や応援団の識者らはそうした論法ではぐらかすつもりでしょうか。(おわり)
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