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2021-08-19 00:00
(連載1)五輪があぶり出した日本問題の検証が重要
中村 仁
元全国紙記者
東京五輪では、競技場内の選手たちの躍動美の素晴らしさに酔いました。一方、競技場外の運営では、多くの問題が浮上し、多くの論点が浮き彫りになりました。五輪史上に残る大会となるでしょう。運営側の不祥事の多発、コロナ危機、猛暑、政治的な思惑、経済的収支、開催都市の負担軽減、IOCの絶対的な権限への批判など、論点は拡散しています。それらを総合的に検証し、日本自身への教訓としてもらいたい。
朝日新聞の社説は「政府、都、組織員会は問題を整理してこれまでの対応を検証し、国民に報告する責務がある。国会も目を光らせ、行政監視の使命を果たせ」(7日)と書きました。この指摘に決定的な誤りがあります。「政府、都、組織委員会」は東京五輪の当事者であり、自らに不利な検証結果を出すはずはありません。本来なら新聞が検証報道をすべきところです。今回の五輪では、新聞は協賛企業であり、協賛金の見返りとして広告収入を得るという立場でした。利害関係者にあたり、公正で中立的な検証は望めません。公認会計士、弁護士、スポーツビジネスの学者や関係者、政治、経済、経営学者、五輪に詳しい専門家などが有資格者でしょうか。とにかく第三者委員会に検証を委ねることです。国会でも設置を議論し、調査権限も与え、厳格な調査ができるようにすべきでしょう。秋に総選挙がありますから、五輪検証を公約にする政党があってほしい。
社会的問題を起こした企業がしばしば内部調査をし、責任の所在を説明することがあります。お手盛り的な調査が少なくなく、結局、社内の人物を外した第三者委員会の調査に追い込まれるのです。毎日新聞も「酷暑の問題を含め、主催者と日本政府はきちんと検証しなければならない」(9日)と主張しました。これも同類です。少なくとも当事者による検証は必要であっても、十分ではありません。
積極的な五輪開催派であった読売新聞は「直面した課題を記録に残し、今後の五輪改革につなげるようIOCに提案することが必要だ」(同)です。社説のほとんどが競技場内での評価(女性の活躍、混合種目の増加など)に割かれ、事後検証には関心は薄いようです。(つづく)
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