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2021-08-19 00:00
西川恵氏の『教養として学んでおきたい日本の皇室』を読んで
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
『教養として学んでおきたい日本の皇室』という元毎日新聞記者の西川恵氏の本を読みだした。同書の中で、西川氏は説く、「『天皇は日本の人々を一つにまとめる象徴的存在』これは天皇制廃止者の一部を除き、ほぼ国民の間で合意形成されている。そして日本の外交活動上どれだけ助けになっているかしれないのだ 。今年元旦の今上天皇メッセージで、新型コロナウイルスについて、医療・保健・介護など最前線で携わる人々の努力、献身に感謝を表明。国民が思いやりを持ち、助け合い、支えあっていくことの大切さを訴えられた」。しかし、と西川氏は述べる。「私たちは天皇と皇室のことを知らなすぎるのではないか」。それがこの著書を書く次第だ。
書の内容は是非、読んでいただくとして、わが国は ユダヤ教、キリスト教、イスラム教といった一神教が世界の多くを支配する中で、この天皇制など、日本は異質な存在でもある。地球的視座を踏まえた国際感覚と日本独自の伝統文化の保持、グローバリズムとミニマリズムという相異なる二つのベクトルの包摂を果たすべく運命づけられてもいる存在なのだ。時として、世界の一部から、異様な存在として嫌悪を受けがちな存在でもあることを覚悟すべきなのだ。日本はこの固有性と独自性を偏狭なナショナリズムに堕することなく、内外に発信し、グローバルな、頭の痛い、今日的課題に地道にしかし着実に取り組み世界に寄与することが必要なのだ。
それともう一つ大事なことは、大使などの外交の重責を果たした方たちにインタビユーすると、みな口々に如何に奥さんに助けられたかしれないと話す方が多い。外交の論述やテレビの解説などでは、こうした現場での苦労が無視されがちだ。「MEN WITHOUT WOMEN」の世界を説くことが多い。しかし、毎日の外交活動は、有能な外交官は日ごと呼んだり呼ばれたりの交際が多い。そしてその主役は大使及びその夫人(女性大使の場合は、その夫)なのだ。大使公邸や幹部の自宅でお客を招待するには、メイドなどの助けもあるが、日本の場合、花のアレンジから料理の手配、場合によると百、二百の個数のおにぎりを一人で作らないといけない。後進国もそうだが先進国でも文化の差異があり、そのまとめには苦労が多いのだ。ある外交官は述べる、エリザベス女王も緒方貞子さんも立派な女房役のご夫君がおられ、どれだけ助けられたかしれないのだ。
ある外務省の人が述べていたが、こうしたご夫人の働きの感謝の意を込めて、夫人にも海外で1万とか2万とかだが配偶者手当が出ていた。しかるに、外務省とけんかをし牢に入った元政務次官が、復讐のためか、そうした夫人の手当てを廃止してしまったそうだ。実質それほど家計の助けにならなくとも、こうした公務に尽くす仕事をしていると認知することでもあったのだ。
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