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2021-08-13 00:00
世界での人権問題
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
今、世界で人権問題の対応が色々出てきている。欧米先進国は、特に中国をターゲットとして、人権侵害への関与に神経質なほど力を入れだしている。日本にとり厄介なことは、それが経済活動、企業に求められていることだ。グローバルなサプライチエンーンにおけるあらゆる形態の強制労働の利用の根絶を旗印にしている。欧米とも、法的な取り組みに急いでいるので、それが成立すれば、もちろん日本企業の海外での活動にも影響してくるのだ。
男女同権についても、日本人はややもすると世界での相場観に疎いところがある。森さんの五輪会長辞職問題も、森さん特有のというか、標準の日本の一部保守層の考え方を素直に述べたにすぎないにしても、今の世界の特に五輪のような、ビリビリした状況下ではNGなのだ。森さんは家では愛妻家で、奥さんに頭が上がらないなどと弁護する声などもあったが、世界のひのき舞台では通用しない。世界経済フォーラムが毎年出している男女格差レポートで、日本は145か国中、100番以降だ。しかし、内容を精査すると、設問が、「過去50年間のうち国家元首が女性であったことが無い」、「女性の議員・官僚における重要ポストに就く比率が少ない」、「管理職が少ない」など、茶々を入れたくなる設問が多い。一方、国連のUNDPの報告書では、日本の順位はだいぶ高い。これは産婦の死亡率、二十歳以前の出産率、平均準用、識字率などが設問で入っているからであろう。
悔しいが、今の人権や男女同権の思想とか法的規定は、欧米が発展させたものだ。日本は明治以降、近代化に大車輪で取り組んだが、旧時代の儒教的道徳などが社会の各層に根強く残っていて、女性の参政権は第二次世界大戦後にやっと認められた。人により、日本は伝統的な神道の祭祀だとか、民族的な習慣風習では女性の地位は強かった、かっては女王卑弥呼が国を統治していたとかいう人がいるが、世界の表舞台ではそれがどうしたと切り返されておしまいだ。グロ-バル化の下、世界の各地はそこでの宗教、文化、その地の代代引き継がれてきた根強く残る思想と、いま世界を席巻しつつある欧米のこうした人権思想をどう融合させていけるか葛藤の最中だともいえよう。
ターゲットの中国人知識人のある人は、欧米人は中国の古典「紅楼夢」を読んでいない。その世界は、完全な女性上位の世界だ。大体祖父祖母のうち、祖母が残る率が多いので、その社会では、祖母の発言力が絶対でそれは今の時代も変わっていないと宣う。筆者の幼少期を思い起こしても、祖母の力は大家族の中で絶対だった。今、欧米は中国を攻撃目標としているが、それがいつ日本へと向かうかわからないのだ。その予防のためにも、法的に手配可能な、女性の議員数や官民の管理職における女性の比率を高めることをいまかからでもやるべきなのだ。
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