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2021-08-10 00:00
日本における台湾有事論議
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
東京五輪の閉幕式は、バッハ会長や橋本氏のスピーチが退屈で長すぎたとか、式内容が陳腐でつまらなかったと、五輪が選手たちの奮闘でパンデミック拡大の状況下に熱戦を繰り広げ多くの感動をもたらしただけに、失望の声が多い。しかし、これも我が国の国民へ日本の立ち位置を肌身に染みて教えるものだ。海外の多くの知識人たちは、親や奥さんにせかされたりして、毎日曜日には教会でミサを受けるとか、イスラム教徒は毎日の礼拝をきちんと行っている人が少なくない。日本人は、宗教に関しては、平和な島国に長く暮らしているせいかあまり厳格ではない。お寺や神社のお参りも年に数回が多い。まず、宗教の儀式での立ち居振る舞いに慣れていないし、世界の一つの標準的なパーフォーマンスがどういうものかも疎いのだ。だから、町の盆踊り的なやり方になるのだ。日本はこうした方面での世界での寄与はあまりできないと観念すべきだ。福田総理のアジアへの平和的援助政策を学ぶべきだ。日本の戦時中の迷惑を一つの手段として、経済的発展のために東南アジアの国々へハード、ソフトの各面で日本の特色を帯びた支援を相手が卑下する形にならないように、うまく対応したのだ。
最近接触した、中国大陸の知人の力説するところでは、台湾有事に関し、日本はやや周回遅れの議論をしているのではないのかというのだ。彼は、中国も米も、そして台湾も、今の段階で真に切羽詰まった状況にはない。米の最近の内部での対中議論からもわかる。米政府が、最近しきりに高官発言などを通じ、「一つの中国支持は変わらない」、「台湾独立を米は支持しない」と述べていることに注目すべきだと述べる。もちろん、米のマスコミなどで、台湾有事が押し迫っているなど煽る記事もまだ多いが、これは軍事予算獲得のための一つの手段だし、日本政府も「台湾有事」への警戒心を煽り立て、集団自衛権行使を可能とする国内の情勢を作りたい気持ちがあるのだ。日本人の多くはよく、なぜ、中国は台湾にあれだけ固執するのかと怪訝になると発言する向きが多い。しかし、考えてみよう、本来内戦で勝利し、敗軍の蒋介石は台湾へ逃げ、そこを攻めようとしたときに、あの朝鮮戦争、そのころの東西対決の先鋭化が起こり、占領はお預けとなったのだ。日本の政府が沖縄はもう諦めますと言ったら、どうなるのか考えてみればよいのだ。
中国の本気度は確かとするとそれに対応した米国の本気度はどうなのか、口先だけの日本などをなだめるためのパーフォーマンスに過ぎないのか、よくよく確かめてみる必要があるのだ。8年にわたり駐米大使を務めた崔天凱大使は、以前お会いしたことがあるが、朝鮮語を中国外交部で割り当てられ、日本語を担当していた王現外交部長をうらやんでおられたことを思いだす。彼は、安倍さん同様、トランプさんとはうまく対応し、この米中対決の厳しい中、何とかなだめながら8年間も活動できた。メディアでは、後任の秦大使は、報道官もしてやり手で対米強硬派だとの論が多いが、果たしてそうか。注意してじっくりとみている必要があろう。
もちろん、これからの米中の先端技術その他の分野での対決は熾烈なものとなるだろう。一方、民主国家である米国内においては、米の最近の経済安保に名を借りた自国第一主義への姿勢批判もある。こうした保護主義政策は結果的に米の経済力を弱め軍事に避ける予算がかえって少なくなる。また、米中経済の切り離しは、きわめて難しい。評論家の言うような生易しいものではない、などだ。日本のこれからは、某賢人が述べておられるように「米中を巻き込んだ経済貿易のルールつくりに少しでも多く関与すべきだ」に尽きる。
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