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2007-07-26 00:00
連載投稿(1)「北東アジア環境共同体」の構築を急げ
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
アセアン諸国は、今秋のシンガポールでの首脳会議で「アセアン憲章」の署名を計画している。アセアン諸国が2015年までにアセアン共同体を構築し、その直面する主要課題の共同・協働解決のために、経済共同体、社会文化共同体、安全保障共同体の構築を目標として掲げていることは十分理解できる。しかし、東アジア共同体の構築過程で、日本、中国、韓国で現在多くの経済人、学者、官僚がアセアン共同体構想を、そのまま受け継いで「東アジア経済共同体」の構築を優先し、二国間・多国間経済連携協定の締結を急いでいるが、何を優先するかは考え直すことが急務である。
「東アジア経済共同体」の構築には、なるほど、二国間・多国間経済連携協定の締結が不可欠あるが、従来から言われているように、東アジア諸国間の経済的相互依存度の向上は、共同体がない過去40年の間に着実に進展し、現在に至っている。勿論、1967年のアセアンの誕生が、アセアン諸国間の経済的相互依存を高めてきたことは認知しているが、東アジアの経済的相互依存を高めてきた主要な要因は、1967-87の20年間ではシンガポール、香港、台湾、韓国、日本間の貿易、直接投資、間接金融の飛躍的増大の結果であり、1980年代後半以降はそこに中国が参加してきた結果であることは、この地域の経済統計を途切れることなく公表してきた国連アジア太平洋経済社会委員会の年次報告を見れば、一目瞭然である。この経済的相互依存の向上は、1967年以降現在まで「東アジア経済共同体」が存在しない中で起きてきたことを銘記すべきである。勿論、誤解を回避する意味で、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の貢献や近年の二国間自由貿易・経済連携協定の貢献を否定するものではないし、今後10-20年のアジア地域の経済発展を展望する場合、「東アジア経済共同体」の構築は望ましいことは、それを推進している一人としてよく知っていることを敢えて付記しておきたい。
しかし、今問題としているのは、「東アジア経済共同体」の構築が、現在の東アジア諸国、特にプラス3の国々にとって最優先課題かどうかということである。加盟予定各国が開放的国内政策の採択、二国間協定等の締結により、東アジア諸国間の経済的相互依存度は今後も高まり、結果としてこの地域の経済成長をある水準で維持することは可能であろう。小生の意見では、「東アジア共同体」の構築を長期的視野に入れながら、「アセアン共同体」の構築を側面から支援することがわが国の外交上の現在の優先課題であると考える。他方、今最も緊急解決を要する課題は、東アジアで急速に進行中の環境破壊であり、この環境破壊を食い止めるためには、「東アジア環境共同体」の構築を中期的視野に入れながら、中国、韓国、日本のいわゆるプラス3諸国間で、やがては相手次第であるが朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)を含めて、「北東アジア環境共同体」の構築を最優先外交案件として急ぐべきである。(つづく)
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