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2021-07-28 00:00
隣国との付き合い方
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
五輪でメダルラッシュだと喜んでいたら、知人から、思いがけず卓球で金を落としたことに、中国のブログで日本はインチキをやったのだとの声もあると聞く、敗戦を素直に認めないのは卑怯だ、心が曲がっているとと怒りの声を拝聴した。韓国も放射線に汚染された日本の食事はごめんだとの声などもあると聞く、お前(筆者に対し)はいつも、中国、韓国を味方しているようだがどう考えるのかと手厳しい。インターネットで自由に人々が発信できるとその隠匿性を利用して、なんでも発言しまくり、自分はスカッとして、気が落ち着く人がいることは事実だ。隣国だと、微に入り細に入り報道される。人間は褒めることより、貶すことのほうが好きのようだ。メディアでは、そちらのほうが儲かるのだ。知り合いの韓国の知識人は、韓国人は、日本にまだ甘えがあるのかもしれない。なんでも日本を敵にして喜ぶのだともいう。
米国人は、日本は大国、米、中との付き合いにしか目が行っていないが、中小国とのそれも、なかなかエネルギーを費やすものだと述べる。南米のアルゼンチンは、何度も、国をデフォルトさせ、その都度米での債務をチャラにしてしまう。年金などを、もうかりそうだとの声に騙され、債権を購入した一般米国人がいつも損をするのだ。移民の集団が、メキシコとの国境に毎年押し寄せてくるが、米も、事前にいろいろ手配し、常習犯の国、社会保障支援の金を与えたり、ノウハウを付与したり忙しいが、あまり効果がない。麻薬、極悪犯罪者もこうした移民に紛れ入り込み、頭が痛いのだ。文芸春秋の巻頭随筆を担当の数学者の藤原正彦氏は、どちらかと言えば右寄りの人だが、終戦後に、父親の任地の満州から命からがら、朝鮮半島を経由して帰国した際、朝鮮の一般の人々の惻隠の情に助けられたと述べている。筆者の海外経験でも、韓国、中国の人には、いろいろな場面で助けられた。
情報がありすぎるとお互い、貶しあうことにもなるのかもしれない。知人の、英語、独語の達人の話をすると、1990年代、彼は怒りまくっていた。彼はニューヨークタイムズを読み、CNNを視聴していたのだ。いま米のメディアが、中国のあら探しをして、叩きまくっているような状態だったのだ。東日本大震災に際には、在京のドイツ大使館筋が、日本はもうだめだ、ドイツも原発廃止へ踏み切れと大車輪で日本国内で吠えまくっていたとカンカンだった。情報のありすぎも考え物かもしれない。中国の天津で、米の国務省高官と中国外交部との協議が行われた。米は、新疆での人権問題、米における孔子学院の米の国内事情を無視した中国宣伝のごり押し非難とか盛沢山だったが、思い出すのは、2001年9.11の後、中国はいち早くアフガンへの空爆を支持し、「テロ攻撃の行動を支持する」と述べている。9月14日には、上海協力機構の声明を出し、ロシアとともに、米を支持するとともに新疆ウイグル自治区を囲む周辺諸国が一体となって、テロの取り締まり強化を叫び、米も支持した。
日中国交正常化交渉で活躍した中国の周恩来首相は、ナンバー2になることを常に避けていたが、最晩年にはついのその地位につき、孔子批判が荒れまくった。当時は、孔子は中国社会の最悪人物だったのだ。いまや、中国の海外進出のシンボルになっているのだ。国際情勢、特に中国の変化の振幅の幅には驚かされる。外交は、ただの抽象的な国益のぶつけ合いではないのだ。その国の間のお互いの過去の様々な経緯、感情が渦巻いているのだ。特に隣国同士だと、その怨念の度合いも激しい。長い年月の、歴史的、文化的な集積も背負ってもいるのだ。相手に対する、想像力というか洞察が要求されてくるのだ。
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