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2007-07-25 00:00
ミャンマーの人権問題は経済制裁を念頭に解決を図れ
甲斐紀武
団体役員
東アジア共同体の前途には多くの難問が横たわっているが、そのうちでもミャンマーの人権問題は、放置すれば欧米諸国から「東アジア共同体は民主主義、人権に無関心である」と受け取られる惧れが大きく、早急に手が打たれなけばならない問題である。東アジア共同体の枠内で共有すべき価値観のうち民主主義、人権の尊重はもっとも重要な価値観である。現実のミャンマー政府が依然としてスーチー女史の自宅監禁措置を継続していることが国際的にも非難されているに拘わらず、ミャンマーにおいては民主主義の導入に依然として改善が見られないばかりか、首都移転などの動きはこれに逆行するものである。7月中旬に久し振りで開かれた新憲法制定のための国民会議も今後の国民投票や総選挙プロセスを保証するものではないと見られている。
特にわが国として心すべきは、わが国政府に政治難民のステイタスを申請する年間数百人の外国人のほぼ9割がミャンマー人であるといわれる点である。これはミャンマーに人権問題が存在することを如実に反映する事実である。また同時に政治難民救済を目的として2006年5月に発足し、筆者もその一員であった「難民審査参与員」制度はまさにミャンマー人のためにある制度だと言われる所以である。
日本・ミャンマーの二国間においてこのような異常な状況は放置出来ないが、日本政府は出来るだけ対話によって解決を図るとの趣旨から、2003年5月以来新規の経済援助の実施を停止する措置を取って以来目立った動きを示していない。人権担当の大使を任命してはいるものの、国連などの国際会議の場を除けば、日本政府の人権問題への対応はにぶく、無関心に近い。国際的にもそのように見られている。5月下旬にハンブルグの第8回ASEAN外相会議の際の麻生外務大臣とミャンマーのニャン・ウイン外相との会談でも、麻生大臣はスーチー女史の自宅監禁延長の措置を非難したが、トーンは弱いものであったと言われる。
このように依然としてわが国の対応は生ぬるい状況にある。先に述べたようにわが国は政治難民を申請する多くのミャンマー人を抱えている。ミャンマーにおいて人権の状況が改善される見通しがないとすれば、この際わが国はそろそろ経済制裁も視野に入れて問題の早急な解決に努めるべきではないか。そうすることによって世界的にも日本が人権尊重の立場を取ることが明白になろう。
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