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2021-07-07 00:00
(連載1)中国共産党の「台湾解放」の現在地を見誤ってはならぬ
加藤 成一
外交評論家(元弁護士)
中国共産党は7月1日、創建100周年の記念日を迎え、北京の天安門広場で祝賀大会を開いた。習近平党総書記(国家主席)は、「経済総量で一躍世界2位を達成した。中国の特色ある社会主義によってのみ中国を発展させることができるのであり、貧困から脱出し経済的にゆとりのある小康社会を実現した。台湾問題を解決し、祖国の完全な統一を実現することは中国共産党の歴史的責務であり、いかなる台湾独立のたくらみも粉砕する。」などと演説した。
上記演説は習近平氏の中国及び中国共産党に対する自信の表れとも言えよう。確かに、毛沢東による自力更生、人民公社、大躍進政策の失敗や、文化大革命などの思想闘争の結果、経済が停滞していた毛沢東時代から一転して、鄧小平の「改革開放政策」以後の中国の経済的発展は目覚ましい。自力更生ではなく、改革開放による全面的な外国資本や技術の導入、株式市場の活用など、いわゆる「社会主義市場経済」の成果と言えよう。さらに、近年の中国は外国資本や技術の導入のみではなく、「中国製造業2025」に代表される独自の先端技術開発や軍事技術開発、宇宙開発等にも積極的に取り組み、今や、世界第1位の経済・軍事・技術大国である米国を震撼させるに至っている。
しかしながら、習近平氏は、かねてより「中華民族の偉大な復興」のスローガンを掲げ、発展した経済力を、もっぱら核戦力を含む軍事力の増強拡大に向けており、米国に伍して世界の覇権獲得を狙っていると言えよう。国際法を無視した南シナ海における人工島・軍事基地建設、東シナ海尖閣諸島における力による現状変更の試みや、西太平洋への海洋進出、途上国への援助を手段として支配権を狙う「一帯一路」政策などがその一例である。
のみならず、「中華民族の偉大な復興」には当然「台湾解放」が含まれる。しかし、台湾は、国際法上の主権国家の4要件である(1)国民、(2)領土、(3)主権政府、(4)外交権を備えている国際法上の独立した「主権国家」である。したがって、台湾を「解放」するために武力を行使することは、単なる内戦ではなく国連憲章第2条第3・4項違反の国際法上の「侵略戦争」であろう。また、「台湾解放」は地政学的にも重要な意味を持つ。「台湾解放」後の中国は、A2/ADを前進させ台湾に核弾道ミサイル基地や海軍基地をはじめとする、総合的且つ強力な本格的軍事施設を建設するだろう。これにより、日本や米国は尖閣諸島を含む東シナ海の制空、制海の優勢が大きく揺らぎ、米国のグアムや日本の沖縄の米軍基地、さらには日本本土に対する軍事的リスクが跳ね上がることになる。その意味で「台湾有事」は「日本有事」なのである。(つづく)
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