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2021-06-24 00:00
米中の対立を建設的な競争へ
中山 太郎
団体非常勤職員
米中、台湾の知人との会話を思い出しながら述べる。戦前の日本が飛ぶ鳥の勢いで威張っていた時、第一次大戦処理のベルサイユ講和会議において、人種偏見、差別の反対を意見具申し、それを明文化することを求め、会議では、賛成11、反対6で賛成の方が多かった。しかし、議長国の米のウイルソン大統領は、こうした重大事項は、全員賛成が原則だと却下してしまった。この時、当時の中華民国中国は賛成票を投じはしたが、中国国内での評判は悪かった。日本は、アジアにおける日本の覇権を求めるもので、真の人種差別反対ではないというものだった。日本の中国に於けるドイツの利権の入手などを目のあたりにして、反日世論は沸騰し、その後の54運動につながった。台湾の知人の意見では、日本は世界に人種偏見の非を説くのなら、まず、当時の日本帝国の中で実践してからにすべきだったと述べる。当時の台湾人の地位は日本人と比べると相当差別をされていたと述べる。
自分の父親はよく両親から、「お前は医者か弁護士を目指せ、役人になっても出世はできないのだから」と言われたと述べる。米の対アジア系移民に対しての排斥の流れは、1848年のゴールドラッシュから始まったと言われる。特に中国からの鉱山、鉄道などの肉体労働者が押し寄せた。1882年に中国人排斥の明示的な法律が施行された。その頃、日本は大国としてせせら笑っていたのだ。日露戦争では、米は日本の外債の消化その後の戦争終結交渉など、大変な尽力を果たしてくれた。米としては、日本の門戸開放が進まず不満だった。しかし、米の移民法による影響は、アジアの国の中で日本のみ、紳士協定で抜け道があった。他えば、米において既在留者の家族は渡航可能などでだ。日系移民の多いカルフォニア州では、単純労働者から脱却しつつある日本人への警戒は強く、当時の米大統領の思いと離れ、1924年所謂「排日移民法」が成立した。この時多くの中国知識人は快哉を叫んだことだろう。今、中国経済、社会の脆弱性やリスクが多く説かれ出している。「確かに『中進国の罠』に陥る可能性、社会が豊かになる前の少子高齢化に伴う人口・社会保障・財政問題など多くの課題がありそうだ。ただ、中国と半世紀以上つきあってきた経験から述べると、中国について様々な賢者が多様な意見を述べたが、そのどれもが間違っていたということだ。どの国も生き残りに必死であり、様々な手立てを考えるし、国際社会の激変も激しい。中国に対する警戒心は米国だけのみならず、今や欧州各国にも強まりつつある。しかし、中国に進出している企業のほとんど米や欧州を含め、中国からの退出は希望しないという実情もある。
ここで、野口悠紀雄・一橋大名誉教授のブログの内容は参考になる。バイデン政権下では制裁関税よりもハイテク技術の輸出禁止措置が対中政策の中心となるだろう。米は、ファーウエイやSMICなどへのアメリカの技術を用いた製品の同社への輸出を禁止した。これらの措置により台湾の半導体ファウンドリーであるSMIC の中国企業への輸出が出来なくなった。
今後、同様のことが日本企業にも及ぶ可能性がある。日本、韓国、豪州などは、輸出依存度(GDPに対する輸出の比率)が高い。2017年では日本は、14.3%に対し、米は7.9%。中国は18.9%だ(韓、豪州は日本以上)。EU加盟国も一見数字は高いが、これは域内貿易があるためだ。域外へ緒の輸出だけを見れば、依存度は、一部、ドイツの自動車産業などを除くと高くない。ちなみに筆者の無駄話だが、2010年日本の民主党政権による対中政策の破綻で、中国に反日デモが吹き荒れた際、ドイツの販売店の店先に大きく、横断幕で「日本人は皆殺しだ」「日本を焼き尽くせ」と出ていたのには驚かされた。
日本、韓国、豪州、同じように安全保障面でアメリカから離れられないが、経済的には中国との関係が強い。そこで、この3国が共同して米中に当たることが考えられる。その意味で、日韓関係が今のような状態であるのは残念なことだ。そしていま一つ重要なのは、日本の産業が他国では代価できない技術を持つことだ。例えば半導体についていえば、設計や製造での地盤沈下。しかし、最先端分野では、今でも日本が強い分野がある。そして、米中の対立を建設的な競争関係に変える努力をする必要がある。
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