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2021-06-23 00:00
(連載2)中国経済が抱える巨大なリスク
鈴木 馨祐
前外務副大臣
③については、雇用や政治的背景の観点から潰すことが出来ない(事実上のゾンビ企業である)非効率な国有企業を、暗黙の政府保証により国有銀行を通じた借り換えにより生き延びさせてバブル崩壊を免れている実態及び、リーマンショック後の景気対策により収益性の低い投資案件が乱発され過剰生産能力の急増、地方における住宅過剰在庫、地方政府債務や企業債務の急増につながったこと等を背景に、過去の世界での金融危機と比較しても、リスクがかなり高まっていることが懸念されます。
④については不動産価格が大都市において実態とかけ離れて高騰していて、社会問題化する一方で、中国の不動産の時価総額は日米欧の合計を越えると指摘されるなど、あまりに規模の大きなバブルとなってしまっています。特に人口が減少に転じ実需は減少していくことが予想される中で、最大の問題とされています。また不動産投資が「持てる者」「持たざる者」の格差を拡大しているとの批判が大きいことから当局がその是正に動き出していることも注目されます。
こうした状況の中で、中国政府は、まさに、バブル的様相の中での社会的リスクと経済的リスクのトレードオフ、リーマンショック以降のバブル崩壊を暗黙の政府保証で糊塗してきた結果としての長期的な正常化と短期的危機のトレードオフに直面していると言えます。それはつまり、長期的視点から構造的是正に動けば経済金融危機を誘発しかねず、かといって問題を放置しておけば社会不安、共産党不信につながりかねないというジレンマでもあります。
こうした状況を踏まえ、今後習近平政権が三期目を目指すといわれている来年の共産党大会に向け、あるいはそれ以降、どのような政策を打っていくのか、それを正確に分析し、起こりうる事態に我々日本も世界もどう対応していくのか、注視・警戒と検討が必要です。(おわり)
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