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2021-06-22 00:00
(連載1)中国経済が抱える巨大なリスク
鈴木 馨祐
前外務副大臣
「中国経済は果たしていつまで持つのか。」このテーマは隣国である日本にとって、無縁ではいられない極めて重要かつ切実したテーマです。政府・与党としても、様々な要素を的確にとらえ、どのような仮定の下でどうなるのか、そして日本として、そこにどのように対応すべきなのか、きちんとしたシミュレーションを常に行っておくべき問題です。
その意味で、中国の脆弱性という観点からは、次の4つのポイントにまとめられると考えられます。①資本規制や通貨制度の自由化を行った場合の人民元の動き、②少子高齢化に伴う人口・社会保障・財政問題にどのように対処できるか、③国営企業関連の不良債権を事実上の隠れ政府保証により国有銀行等を通じて糊塗してきたものを今後どうするのか、また個人の所有する事実上元本保証されてきた莫大な理財商品等をどう処理するのか、④大都市を中心に異常に高騰している不動産バブルの処理をどのようにするのか、の四点です。
キーワードだけここに書かせていただければ、①については、これまでの通貨・資本規制の「自由化の不徹底」、「制御可能な匿名性」(人民銀行・国家監察委員会)を目的としたデジタル人民元の導入による当局の情報把握等の動向が指摘される中で、自由化した場合にキャピタルフライトが起こる可能性は低くはないという点を指摘したいと思います。また現状国内のゾンビ企業の借り換えによる資金ニーズで金利が高い状況を人工的に作り出している状況が剥落すればその可能性はさらに強まる可能性があります。
②については、「豊かになる前に高齢化する」最初のケースといわれてきた中国ですが、国営新華社通信が本日報じたところでは、本日、5月31日の中国共産党政治局会議で、これまで既に原則2人までと緩和されていた「一人っ子政策」がさらに緩和されて一組の夫婦で3人まで子供の出産を認める方針を表明したとのことで、人口の減少が極めて深刻な状況であることが類推されます。実際2020年の公安部届出出生数は「2019年1179万人→2020年1003万人」と15%の激減を見せており予想より早く実質人口減に転じている可能性は高い。またその一方でこれまでの社会政策により年金等の水準も高いため財政赤字の増加のペースが想定より大幅に速いということが言われています。中国は今後、いわゆる「中進国の罠」に陥る可能性が高いうえに財政状況も急速に悪化という状況に直面しつつあります。(つづく)
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