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2021-06-10 00:00
(連載2)デジタル人民元の伸長とグローバル企業の動向
真田 幸光
大学教員
中国本土政府は、覇権争いへの参画を開始していた2014年には、既にこのデジタル通貨発行の研究に中国人民銀行や社会科学院などを軸にして着手していました。米国との覇権争いの中で国際決済システムにおける米ドルの覇権を弱体化させ、人民元の使用を増やす動きを進めてきて7年。先ずは中国本土国内でデジタル通貨の使用を通じ、政府が決済データを確保し、資金移動の統制を強化、これで人民の動きをも統制する政策展開を加速しようとしており、東南アジアや一帯一路の周辺諸国にも、その影響力を拡大しようとしている訳です。
そうした中国本土最大の国家プロジェクトの一つに、ユニクロが積極的に参加したと見られている訳です。もとより、ユニクロの創業者・柳井氏は、ビジネスのグローバル化を主張、国籍など関係なく、消費者に安くて良いものを提供すると言うマス・ビジネスを推進する経営者として知られています。そうした中で、ユニクロが、約14億人の潜在顧客を抱える、マス・ビジネスには打って付けの中国本土市場での権益を守る為、統制国家・中国本土政府の最大の国家プロジェクトにユニクロも歩調を合わせていると見られるのは当然でありましょう。ユニクロにとって最大の海外市場である中国本土は、昨年下半期には日本の店舗数を超え、中国本土のユニクロ店舗数は800店を超えているのであります。ここで、中国人にとっても人気ブランドとなっているユニクロが、中国本土政府に協力して、デジタル人民元を推進していけば、中国本土政府にとっても効果は大きいはずです。
ところで、皆さまご高承の通り、米国を軸とした先進諸国と中国本土の間で、「価値観の相違」を背景とした、香港問題や新疆ウイグル問題が横たわっている現在、新疆ウイグル自治区の少数民族の強制労働を巡る論争にユニクロも巻き込まれて、中国本土で不買運動の標的になりました。外国のアパレルブランドであるH&M、ナイキ、アディダスなどは、ウイグル族の強制労働によって生産された綿花は使用しないと表明、当初はユニクロもこれに同調する姿勢を示したところ、中国本土で不買運動の対象となりました。しかし、その後もナイキなどは、引き続き、中国本土政府に対する厳しい姿勢を取り続けている中、柳井会長は、中国本土に対する明確なコメントを回避、今回の、「デジタル人民元利用」 に動いた模様であります。
そして、真田の関心事は、「こうしたユニクロの動きに対して、世界のアパレル企業はどのように反応するのか?」であり、「中国本土と覇権争いを展開している米国政府、そして、米国民はユニクロをどのように捉えるのか?」そして、「米中の狭間にある日本政府はユニクロに対してどう臨むのか?」であります。(おわり)
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