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2021-04-20 00:00
日米首脳会談についての一つの見方
中山 太郎
団体非常勤職員
菅総理がワシントンを訪問し、バイデン米大統領と初の諸脳会談を行った。これに対する、身近の知人たちの意見は「菅、バイデンはそりが合いそうだ」「対米外交出だしは上手くいっている」など好意的見方が多い。報道では、日米首脳の共同声明で、台湾情勢明記は1969年の佐藤、ニクソン会談以来だ、と言われる。しかし思い返せば、米政権はこの時、佐藤内閣を裏切り、国連における台湾、国民党政権の存在援護に日本を邁進させ、はしごを外してくれたのだ。佐藤政権は、国内でたたかれ、崩壊した。外交は常に、国内問題が第一なのだ。同盟国であろうとも、利用することは常にあるのだ。騙される方が国際関係では馬鹿なのだ。
この台湾問題をはじめ「人権」でも、水面下で日米は文言をめぐり相当難航したようだ。そもそも日米とも、対中国との外交条約において、一つの台湾を基本原則として認め明記しているのだ。勿論、両岸問題の平和的解決などという言い訳は付けてはいるが、それはあくまで添え物だ。ある知人は、「人権」問題で日本は、もっとクリアーカットに態度を表明すべきだった。同知人は言う「そもそもバイデン政権が、人権を強く打ち出したのは、中国に対抗するために『自由』『人権』などの民主主義国家の共通の価値観で幅広く連携するためなのだ」「米や西欧はウイグルに対する人権抑圧に強く抗議し制裁を科している」、「それに引き換え、日本の態度は煮え切らない。懸念表明の態度に納めている。西側諸国の対中批判が高まっている中で日本は孤立してしまうのでは」と心配する。
日本は第二次大戦での、中国やアジア侵略の歴史からも、どちらかと言えば歴史的にこうした問題では、常に制裁に積極的な欧米とは、微妙に異なる態度を示してきた。それにある知人は言う、「人権侵害の事実認定は極めて難しいこと、我が国の法律には他国の人間を人権侵害を理由として制裁する法的制度はない」。西側諸国との交流で、名誉白人の地位を占める日本がいつも悩まなけらならない問題なのだ。この日曜日、都心のホテルのドアーを米国人らしい老婦人が抑えているのを、彼女をドアボーイ扱いにして多くの日本の若者が通り抜けていった。日本では、ドアの戸を持ったらそれを閉めるまで、その人間が責任を持ち、次にくる人間にドアを渡すという基本のマナーが身に付いていないのだ。時代小説家の池波正太郎は、日本は伝統的に引き戸の住宅でその文化の中で育ってきたので、それが一番居心地が良いとも述べている。海外で乱暴にドアーを開け、通り過ぎて行った日本の若者が、後ろから来たご婦人の顔をそのドアーがしたたかに打ち傷つけ、損害賠償を訴えられるなどと言う事件も起きている。同じ民主主義国家と言えど、その中身は微妙に異なるのが現状なのだ。
日米はまた、高速・大容量通信規格(5G)、人口知能、量子技術など、先端分野での協力もうたわれた。しかし、日米とも中国は重要な市場である。どの技術を守るのかきめ細かく、前びろな緊密な連絡が必要だ。冷戦時代、ココム協定に違反したとして、日立、東芝など日本の一流企業の海外駐在員が突然に米当局に逮捕されるという悲惨な事件の二の舞はこりごりだ。今の中国のウイグルに対する人権抑圧はひどいが、9.11の後、その復讐にアフガン、イランへ攻め込み、無辜の一般市民を空爆した事実もある。中国も今の状況になる前の90年代には、多くの無辜の人間がテロにあっているのだ。
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