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2021-04-15 00:00
米軍のアフガン撤収から今の国際問題を考える
中山 太郎
団体非常勤職員
報道によれば、米政権はアフガンにスタンの駐留米軍約2,500人を、米同時多発テロから20年目となる2021年9月11日までに条件なしでの完全撤収を明言した。これで思い出されるのは、当時テロでパニックと化した米国社会が、やみくもに復讐の念に燃え走り出した際、強くいさめたのがシラク仏大統領であった。彼はこうした混迷を極める地域へ闇雲に侵攻するのは決して米国のためにならないと、色々な場面で説得を試みた。今の時点から考えると、米の国連などを無視してのアフガニスタン、イラクへの軍事侵攻は、かえって同地域での戦争後のより一層の混乱をもたらした。米が当時唱えた大量破壊兵器の存在は幻だった。今米の一部では、「今回の米軍の撤収でタリバン支配が強まる」「国際テロの温床に舞い戻りだ」「米本土が又標的になる恐れが出てきた」などとささやかれる状況だ。
シラクの助言は真に的を得たものだったのだ。しかし当時の米は一部知識人を除き彼の助言を頭から排除し、耳を貸さなかった。当時米に暮らしたフランス人は、フランス人と分かるといじめを受けたりしたそうだ。米国人の好物のフレンチフライ・ポテトの名前を変える運動が起きたりした。シラクは実は、西欧の中でこの同時多発テロ事件への対米協力は色々やっているのだ。アフガン侵攻後のイラク戦争突入の間際まで米軍と連携してのペルシャ湾への艦船なども実施してもいる。ドイツなどの最初からの非協力とは段違いだった。しかし、フランスはかえって米で「裏切者」とののしられたのだ。そして、米仏関係は極度に深刻化した。米における伝統的な仏文化の強さから、米仏関係は何とか持続したが、日本と米国は同じ民主主義国家とはいえ、仏のような米社会における強靭さはない。人種も宗教も風俗習慣も微妙に異なり、対等とはみなされいない部分もあるのだ。
4月13日付の姉妹e-論壇「百花斉放」欄で、赤峰和彦氏が「ウイグル問題を看過してはならない」の中で、日本政府は深刻な懸念を表明するだけで、具体的な対策を講じない、一部親中派議員は怪しからん、と述べておられる。誠に正論なのだが、世の中正論だけで通るものではないのだ。9.11後の米国は、その頃でも明らかに中国のウイグルでの弾圧があるのに目をつぶり、中国とひそかに連携してのアフガンなどの侵攻に役立てたのだ。シラク大統領は米で袋叩きにあったが、フランスは持ちこたえることが出来た、日本は到底無理なのだ。
ちなみにシラクは大の親日家で、若い時代にロシア人の日本学専門家のもと日本文化を深く学んだと言われ、お会いしたある日本人は、その学識は、到底並みの日本人でも太刀打ちできないほどだと述べている。彼は45回以上も訪日しているが、2005年大相撲の春場所を観戦し、立ち去る際に、観客が彼の相撲好きを知っていて惜しみないシラクコールの拍手を送ったことはスポーツの好ましい話である。
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