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2021-04-10 00:00
仏豪関係から日韓関係を考える
中山 太郎
団体非常勤職員
最近の報道は、ソウル/釜山で与党が惨敗し、それまで強力に文政権を支持してきた韓国の若者や女性層が同政権を離れだしたと述べている。ある日本の評論家は、韓国政府はあまりにも日本へ不条理にたてついた罰だなどと述べている。そしてこの若い世代の動向は、来年3月の韓国の大統領選でも勝敗を左右することになりそうだと述べている。中国との厳しい対決状態の情勢下で、同じ民主主義国家である隣国韓国と関係が極めて悪いというのは、日本の安全保障、経済などにも影響している。韓国が勝手にゴールポストを動かしていて怪しからん、彼らは世界の常識をわきまえていない、堪忍ならないなどと述べる人たちもいる。しかし、ことわざに「ならぬ堪忍するが堪忍」という言い方もある。大人の立場から、一部の過激分子の声を押しのけ、何らかの妥協点を探るよりほかはない。日本、韓国双方の大事な同盟国の米国は、基本的には日韓と手をたづさえて中国と対応する姿勢だ。一部日本の評論で、米は韓国の二股に怒っている、韓国を見放すというのは、あまりにも日本に引き寄せ過ぎの見方だ。
多くの日本人はあまり知らないが、フランスと豪州とは今の日韓関係、あるいはそれ以上に悪かった。70年代2年ほどメルボルンに滞在したが、そこで出会ったフランス領事は、豪州人の悪辣さを述べ立てた。その頃フランスは、南太平洋で核実験を繰り返していた。豪州の過激分子は、フランス総領事館へ乗り込み、そこらじゅうを灰だらけにしたりして暴れまくったばかりか、メルボルンのフランス系の保育所、小学校へ嫌がらせをしたりした。日本の近年、南極での捕鯨をめぐり、日本の船舶へ過激分子が攻撃したことなどが思い出される。アングロサクソン系特有の執拗で過激なやり方なのだ。同じ西側文明でも英国とフランスは極めて違いがある。同じ白人であるだけに、親近憎悪の念も強い、これは、同じ東アジア民族としての日韓のそれに似てもいる。
しかし、最近の報道では、豪の港へ仏の潜水艦とその護衛艦が来航し、南太平洋での演習を行うと言われている。仏はニューーカレドニアなど多くの島を保持している。その首都ヌメアから豪のブリスベンまでは750マイル、パリからは11,000マイルもある。仏と豪は隣国であることを認めだしたともいえる。そのために両国も努力を重ねてきてもいる。1996年に仏は南太平洋における核実験の停止を宣言した。2018年にはマルコム仏大統領が豪を訪問しインド太平洋における仏豪の提携をうたった。日本の安倍総理は豪との関係も極めて良かった。日本の潜水艦の豪への売り込みにほとんど成功していたとも言われるが、豪の政変でおじゃんになった。アジアの研究者は、「豪は一番の貿易相手である中国の東アジアにおける当時最大のライバルの日本を中国に遠慮して排除した」、「やはり有色人種より同じ白人国を選んだのだ」、「いやいや米のオバマの意向だ」とか見方が分かれた。仏はいずれにしろ、12隻の潜水艦の発注、350億ドルをせしめたのだ。
しかし、豪が中国へそれだけ気を使ったのに今経済面での中国からのいじめを受けているのは皮肉極まりない。筆者の中国滞在中、中国飯ばかりで飽きが来ると韓国料理店へ行った。その頃の日本料理店はまだまだ水準が低かったし、日本から材料を取り寄せ、日本人料理人が働くレストランはとてつもなく高かった。第3国での韓国の人たちからの助けは、色々ありがたかった。筆者のある日本人ビジネスマンは、イラン・イラク戦争の際、出張してきた韓国の外交官からの書面を得て、うまいこと飛行機に乗れた。今、米国でアジア人たたきが行われているが、その場合は、韓国も日本も一緒くたにやられていることを思えば思いあたるであろう。世界から見て、韓国人も日本人もあまり違いはないのだ
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