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2021-03-31 00:00
対中政策、バイデン政権は継承したか
真田 幸光
大学教員
米国の民主党バイデン政権は中国本土の習近平国家主席に近く、中国本土との関係を少しずつ調整してくるのではないか、という見方もあります。もちろん、米国民に広がる「中国本土はアンフェアである」との国民感情はバイデン政権としても無視はできないでしょうし、何よりもバイデン政権自らが高らかに叫ぶ人権問題と環境問題に関しては、中国本土に対しても厳しく接すると思われます。しかし、そうした中にあってもバイデン政権はトランプ前政権に比較すると中国本土には甘いのではないか、との見方は一部では根強くなされています。
さて、こうした中、米国のバイデン大統領就任式の前日に当たる1月19日に、国務長官に指名されていたブリンケン氏に対する米議会上院の公聴会で注目すべき発言が出たことに市場の一部は関心を示しました。バイデン大統領就任と同時にトランプ前大統領の政策をほぼ全て否定する考えが示された中にあって、ブリンケン氏は、「トランプ大統領の政策のうち一つだけを継承する」ことを示唆したのであります。それが対中政策でありました。ブリンケン氏は、「中国本土に対して強硬な政策を進めたトランプ大統領の考え方は正しかった。我々バイデン新政権の外交にもプラスになると信じる」と証言したのであります。
野党となった共和党も直ちにこれに前向きな反応を示しました。例えば、共和党のジョンソン議員は、「トランプ大統領は全ての人に中国本土の邪悪な意図について目を覚まさせた」とコメントしています。そして、米国の対中強硬路線は、民主党と共和党の党派を超えて、全面的に推し進められることになったのではないかとも見られています。
但し、私たちの中には、「バイデン政権は習近平国家主席とやはり一定の繋がりがある」との見方が残っており、例えば、私は「ファーウェイに対する規制」などがしっかりと継承されていくのか否かがリトマス試験紙となるとして、注目しています。一方で、「中国本土の政権掌握に関して、習近平国家主席の力が落ちて、人民解放軍や公安の力が強まっているのではないか。もし、そうであるとすると、文民・習近平国家主席とは異なる政策姿勢を中国本土が示して来る可能性もあり、より厳しく対中政策を展開しなくてはならないであろう」と言った声もあり、まだまだ、「疑心暗鬼」の中で市場関係者は米中関係の行方を静観しているところであります。
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