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2021-03-30 00:00
(連載2)サステナブルファイナンスのための国際ルール形成
鈴木 馨祐
前外務副大臣
①企業へのサステナビリティに関する情報開示については、「今般改定が予定されるコーポレートガバナンス・コードにサステナビリティ開示、特に気候変動に関してはTCFDや今後IFRS財団が策定する基準に基づく開示について記載することが望まれる。」とし、今後の方向性として「法廷開示も含めその在り方にさらなる検討を加えることも考えられる」と記載し、取引所の上場基準や法令による手法の可能性に触れています。
②開示の内容については、「当面気候変動情報についての施策を先行させる(Climate First)ことが現実的」としつつ、今後他のESG要素や、例えばウイグルや香港の人権問題を念頭にそうした人権弾圧に関連する企業がサプライチェーンに含まれる場合米国等でのマーケットアクセスが失われる可能性も考慮し、「人権等にかかる法的リスク等、新たな’S’」についても検討が必要と記載しています。
③企業年金等のアセットオーナーにESG投資の推進を推奨するとともに、公的年金資金や政府が間接的に株式保有する金融機関などには、政府としてESG投資へのコミットメントを求めています。同時に実際に運用を行う機関投資家(アセットマネージメント)についても運用におけるサステナビリティ考慮についての情報開示を求めています。
④ESG評価機関ついても市場の混乱を避けるために、評価基準などについての透明性向上を求めるとともに、日本やアジアの情勢に精通する世界に通用する評価機関の育成の必要性を記載しています。
⑤金融庁に対しては、金融機関への検査監督・ストレステストにおいて、「日本銀行と連携して、今夏を目途に大手金融機関がシナリオ分析を開始できるよう対話を進めるとともに、金融機関の気候変動リスク管理についてのモニタリングの考え方を、21年度中を目途に示すべき」としています。
⑥日本銀行においても、金融庁同様金融機関に対するモニタリング手法の確立を求めるとともに、グリーンQEの議論が各国でされていることや金融経済への気候変動リスクの認識が共有されていることを踏まえ、金融政策における資産買い入れにおいて対象を拡大しうるかの検討を求めています。
⑦財務省においてもグリーン国債についての研究を行うこと、金融庁に対してはソーシャルボンドの実務指針の策定を着実に進めること、政府に対して、カーボンプライシングやエネルギーミックスなどの長期政策については市場参加者から長期的に予見可能な打ち出し方をすること、などを求めています。
こうした点を踏まえて、最後に、日本としての論理的な組み立てをして、国際的なルール作りに戦略的に関与することを求めています。アメリカやイギリス、EUなどでかなり先行している現状ですので、わが国としても腹をくくらなければ、他国が創ったルールで日本企業が正当に評価されずに戦うということになりかねません。(おわり)
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