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2007-07-15 00:00
外貨準備多様化の好機
山下英次
大阪市立大学大学院教授
わが国の外貨準備の構成は、極端に米ドルに偏重していることに加え、金準備の比率が諸外国と比べ極端に小さいことが特徴である。リスク分散の観点から多様化が必要とされるが、これまでは円高局面が多く、ドルからユーロ、アジア通貨、金など他の通貨への多様化は、追加的な円高・ドル安要因となることから、現実的には難しいということもあった。
しかし、昨今、すでにかなりの程度円安が進行してきており、いまこそ、外貨準備多様化の好機といえよう。日本政府は、国家戦略として、外貨準備の多様化を進めるべきである。現在のような極端にドルに偏った外貨準備政策は、おそらくある時点で、日本政府として正式に決めたわけではないのであろう。
これまで、わが国の通貨外交は、事実上、歴代の財務官たちの裁量によって決められてきたといっても過言ではない。外国為替や国際金融を専門的にウォッチしてきた者として、率直に申しあげるが、「財務官通貨外交」の失敗によって、これまでわが国の国民経済は非常に甚大な被害を蒙ってきた。日本経済の「失われた十数年」も、結局のところ、そうした失敗によって多くの部分が形作られてしまった。
政治家が、「為替のことは分からない」などと言うからこのようなことになったのである。官僚任せにすると、どうしても現状維持になってしまう。政治家、それも官邸の関与が強く求められる。安倍総理が、戦後体制の見直しを標榜し、着々と政策を進めておられることには敬意を表するが、この外貨準備多様化の問題もまた、戦後体制の見直しの一環としてとらえるべきである。そもそも、戦後体制の見直しと、日米関係のさらなる強化は、基本的に相矛盾する。
世界経済がドルの暴落リスクに直面していることに加え、世界はすでに多極化(polarisation)に向かって大きく動き出しており、これまでのように、無批判的に米国一極支配の継続に加担することがわが国の長期的な国益に資するとは思えない。この円安の好機に、日本は、米ドルからユーロ、アジア通貨、金への積極的なシフトを進めるべきである。そして、それは、他ならぬ官邸が主導しなければならない。
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