ホーム
新規
投稿
検索
検索
お問合わせ
本文を修正後、投稿パスワードを入力し、「確認画面を表示する」ボタンをクリックして下さい。
2021-02-25 00:00
(連載2)議会襲撃事件とトランプ弾劾裁判
斎藤 直樹
山梨県立大学名誉教授
上述のとおり、トランプ氏の弾劾を画策した民主党議員達の狙いはトランプ氏が二度と政治のひのき舞台に戻れなくすることであったと言える。そのためにトランプ氏が暴徒達を差し向けて議会を制圧し力づくで政権の移譲を拒もうとしたと、民主党議員達は言わんとしたのであろう。議会襲撃がトランプ氏による扇動によるものであったと民主党議員達は断定したかったのであろう。頻繁に流された議会襲撃を捉えた映像を見せられると、そうした印象を受けてもおかしくなかった。だからこそ、トランプ氏があの日、あの場所で、あの人達を集め、あの集会を開いた見識が疑われるのである。大規模選挙不正の数々に激高した熱烈な支持者達の一部は後先も考えずに議事堂を襲撃したのであろう。2020年大統領選挙において露呈した通り、大手メディアなどは露骨なまでに民主党びいきである。今後を展望するとき民主党議員達に懸念材料があるとすれば、トランプ氏が共和党を率いる指導者として政治の舞台に再び戻ってくることであろう。そうであるからこそ、民主党議員達はここで一気にトランプ氏を弾劾に追い込み、その政治生命を絶つことを目論んだのである。弾劾に追い込まれれば、今後、共和党員としてのトランプ氏の政治生命は絶たれたであろう。もし共和党からトランプ氏を追放できれば、2022年の次期中間選挙で圧勝を博し、2024年の次期大統領選でも確実に勝利できるとの読みが民主党議員達にあったと思われる。
これに対し、大統領職を失い上院での多数派の地位を失い下院で少数派に甘んじている今の共和党にとって、2022年の次期中間選挙で勝利を収め、2024年の次期大統領選挙で勝利を収めることは極めて厳しいと言える。1月6日の不祥事でトランプ氏が共和党内の求心力を失いかけたことは事実であるとしても、今後の政治日程を踏まえると、トランプ氏の力が必要となるとみるのは当然であろう。このことは2月13日のトランプ氏の弾劾裁判票決で、共和党議員の造反者が7名に止まったこと、しかも造反者はトランプ氏と仲の良くない議員達であったことに表れた。トランプ氏が2020年大統領選で約7400万もの得票を獲得したことに如実に示されるとおり、共和党議員達はトランプ氏が今も多くの米国民から絶大な支持を得ていると認識している。一層逆風にさらされる可能性がある次期中間選挙での逆境を覆すためには、共和党議員の多くにとってトランプ氏による支援を賜りたりたいのが本音でなかろうか。トランプ氏が共和党で隠然とした影響力を持ち続け、次期中間選挙に向けて共和党候補者達の選挙支援に駆け付け、大多数の支持者の熱狂を作り出すという状況ほど、民主党陣営からみて不愉快なものはない。そうした手法の是非は別にして他の政治家にとってなかなかまねのできるものではない。
次期中間選挙において共和党が躍進を果たすことができれば、2024年大統領選はすぐそこである。次期大統領選での民主党候補がバイデン大統領であろうが誰であろうが、共和党側にとってホワイトハウスを奪還できるのはトランプ氏しかいないのではないか。2020年大統領選で明白になったのは、一度選挙結果が出てしまえばそれを覆すことがいかに至難であるかであった。大手メディアは開票直後から不正は一切なかったとの立場を堅持した。11月4日の深夜にジョージアでの集計場で実行された重大な不正現場の一部始終が監視カメラに捉えられたにもかかわらず、FBIも司法省も全く捜査に動こうとしなかった。12月上旬にテキサスを始めとする十数州がジョージア、ペンシルベニア、ミシガン、ウィスコンシンなど4州を選挙ルール違反や選挙不正の事由で連邦最高裁に訴えたにもかかわらず、最高裁は「原告適格」がないとして全く見向きもしなかった。こうした最高裁の対応からは、面倒な事案に巻き込まれたくないという判事達の思いが伝わってきた。12月上旬に行われた「フォックス・ニュース」の世論調査で米国民の三人に一人以上が大統領選は盗まれたと回答したように、多くの米国民が選挙結果を真剣に疑っているにもかかわらず、何もなかったかのように1月20日にバイデン政権が発足した。
こうした現状が続くようでは、次期大統領選に向けて指名獲得を受けた共和党候補は間違いなく苦戦を強いられることが予想される。しかも幾つかの激戦州で民主党陣営がまたしても大規模不正を企てないという保証は全くない。これに対し、もしトランプ氏が指名を獲得することがあれば、民主党陣営は少なからずの不都合を感じるであろう。2020年大統領選において幾つかの激戦州で企てられた大規模不正についての詳細な情報をトランプ氏が掴んでいることは、民主党陣営からすれば、実に戦い難い相手となろう。と言うのは、次期大統領選に向け今回の大規模選挙不正をトランプ氏が事あるたびに訴えることは間違いない。この結果、多くの米国民は4年後、今回の大規模不正を改めて知らされることになろう。それに伴い、選挙不正への怒りと憤りを共有する多数の支持者達を獲得するだけでなく、民主党陣営がまたしても大規模不正に打って出ることを難しくするのではないか。いずれにしても、今後、米国の政治に少なからずの影響力を与え続けるのはトランプ氏の動向であることは間違いないであろう。(おわり)
投稿パスワード
本人確認のため投稿時のパスワードを入力して下さい。
パスワードをお忘れの方は
こちら
からお問い合わせください
確認画面を表示する
記事一覧へ戻る
東アジア共同体評議会