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2021-02-23 00:00
森元首相発言から考える
中山 太郎
団体非常勤職員
いつも鋭い簡潔な指摘で勉強になる荒木和博氏が、本「百家争鳴」2月20付「北朝鮮・中国と女性の人権」で、森元首相発言に触れ、国内外の人々がこれほどにまで関心を寄せているのならば、何故中国や北朝鮮の人権状況については無関心なのか、と記述されておられる。その通りだ。森さんの肩を持つわけではないが、日本が景気の良いころは、日中友好関係も金で解決した。80年代に上海で起きた、高知の高校の修学旅行で列車事故にあい、多くの女子学生などがなくなった。列車の運転手はいち早く飛び降りて助かった。この賠償金を取ろうにも、金のない中国からは無理だった。日本側は民間なども巻き込み、学生の関係者への補償を行った。文部省関係の族議員であった森さんが、女子学生たちの悲惨な状況に涙しながら、彼女らの冥福を祈るためにも補償をしっかり行おうと述べておられたのを、事務方でお手伝いしたのでよく覚えている。
どこの国も、時々人々は、ヒステリックに人叩き一辺倒に走ることがある。今回の森叩きもそうだ。中国は、コロナの感染発生当初こそ対応がドタバタしたが厳しい移動規制で、西側諸国と比べ早い段階での感染拡大を封じ込めることに成功した。中国の経済成長率は主要国の中で唯一プラス成長となり、コロナ後の世界経済の回復を中国がけん引する勢いだ。最近のRCEP加盟に続き、TPPにも参加意向を示している。今や、自由経済の盟主気取りである。知り合いの反体制派の中国人学者の意見だと、「中国が本当に国内市場開放を行うのか、やらせてみたらよい、そのうち襤褸が出る」と述べている。同人は、今世界が警戒しつつある中国海警法につき、「政権側は、米のコーストガードの法を取り入れ真似たのだ」と述べているそうだ。そして「領海地域の管理をスムーズに行うことが主要目的だ」と述べているそうだ。
米台関係についても、対立の材料は潜在的にあるそうで、例えば米から輸入するラクトバミン入り豚肉について述べる。日本人は、肉食にはあまり精通しない民族かもしれない。あまり頓着しないからとも述べる。台湾の反政権の国民党は、この輸入の是非の国民投票提起を昨年秋の党大会で決議している。国際経済面でも、中国は、西側への楔打ち込みに出ており、最近EUと投資協定の締結を行った。EU各国は持ち回りで、6か月間議長になるが、引退が決まっている独のメルケル首相がギリギリのところで主導して合意にこぎつけたのだ。日米としては、少なからぬ不安状況でもある。
政治家叩きは日本だけのものではないようで、国際政治でいつも感心して見ているカナダでも、トルドー首相の対中外交が軟弱だと攻められいる。この情報の出どころはフランス語圏のケベックの知人からなので、あるいはカナダ主流の意見でないかも知れないが、中国のファーウエー副会長拘束でその報復で、元外交官やビジネスマンが逮捕されるなどのいろいろな嫌がらせに冷静に対応しているカナダ社会の大人の姿に感銘を受けていたのが裏切られた思いだ。10数年前に用事があり調べた際、カナダの国際貢献での死者数は80人以上だった。日本の3分一の人口でだ。トルドー首相批判は、民主主義も大事だが経済も生きるために大事だとのジレンマに悩む西側の姿でもある。
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