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2021-02-23 00:00
(連載2)台湾、新型コロナ禍の中の「優等生」に注目せよ
李 鋼哲
大学教員
ところで、新型コロナ禍の中で台湾経済はどうなっているのか?また台湾って一体どんなところなんだろう?最近筆者は、台湾の諸事情および台湾から見た国際関係、とりわけ米中両大国に挟まれた台湾の対外関係について猛勉強してきた。もちろん、「東アジア経済論」講義でも台湾と中国大陸との関係について講義するために資料をたくさん調べている。まず、台湾経済はコロナ禍の中で世界での優等生ということを特筆すべき。日本のメディアでは、世界のほとんどの国では経済成長がマイナスになっているコロナ禍の中で、中国の2020年度の経済成長率は2.3%(この数字は本当なのか?と疑うが)であると大々的に報道されてはいるが、その他の国に関する報道は少ない。
実は、台湾のGDP成長率は2.98%であり、台湾では30年ぶり初めて大陸の成長率を上回っているという。因みにベトナムのGDP成長率は2.91%で2位、「四匹の小龍」と言われるシンガポール、韓国、香港などがマイナス成長の中でも独り勝ちである。コロナ禍でもこれらの国は台湾に比べると桁違い。株価は急上昇し歴史的な記録を更新、台湾ドルも急上昇し、経済は30年ぶりの活気を取り戻したという。
その要因は、米中貿易摩擦により多くの台湾企業が大陸から戻ってきて、米国や東南アジアに投資が大幅に増えたこと、ファウェイに対する経済制裁のなかで、台湾の電子機器や部品への世界からの注文が増えていること、海外旅行していた台湾人が国内旅行に切り替えたので、海外に流れていたお金が台湾内部で流通したこと、等などある。台湾からの海外旅行者(アウト・バンド)は19年に約1,800万人、人口わずか2,360万人の8割を超えている。そして年間外貨流出は約8,000億台湾ドル(約2,5兆日本円)だったのが、昨年は国内旅行者が延べ約2.1億人、資金が国内で回り、経済成長に貢献したという。21年度の経済成長が今の勢いで伸びれば、1人当たりGDPは初めて3万ドル台(2011年に2万ドル台)に乗せるだろうと予測され、先進国の行列に並べられる。
昨年度以来の新型コロナ禍の対応で台湾は世界で立派な「優等生」になり、経済成長でも模範を示している事実が、本来ならばWHOなどではその経験を世界に活用すべきであると思うが、複雑で不条理な国際政治に振り回され、国連や国際社会から十分注目されないのは誠に残念なことである。(おわり)
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