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2021-01-30 00:00
(連載2)自衛隊の防衛駐在官について
荒木 和博
拓殖大学教授
なぜこのような仕組みをあえて作ったのかということですが、これは旧軍の反省というものがありました。すなわち、軍部が外務省よりも外交上重要な情報を多く囲い込んだためにその暴走につながったことを踏まえて、同じ過ちを起こさないように外務省が駐在武官と防衛庁の間に入ったほうが良いというのが理由です。たしかにそういう面からは有意義かもしれませんが、しかし、いざ有事があったときにはこれは大きな障害になりますから、現状のこの制度は改革していく必要があります。
しかし、この制度は外務省にとっては戦後獲得した聖域であり大事な省益です。この不適当な伝言ゲームの仕組みによって将来安全保障に関わる大きな過誤が起きないと言えるのかと筆者は思いますが、外務省はこれを自発的に手放す方向で改めようなどとは絶対にしないでしょう。こういう問題は、外部からの改革が必要です。すなわち、国民世論による働きかけが欠かせないということですので、この問題にみなさんが注目することからでも始めていただきたいということです。
ただ、実際のところ防衛駐在官のこの問題は、日本の防衛問題を端的に示す例の一つに過ぎません。例えば、自衛隊(Self Defense Force)という表現も安全保障を正面から受け止めていないことの現れです。元海上自衛隊特別警備隊初代先任小隊長で予備役ブルーリボンの会副代表を務めている伊藤祐靖氏が現役時代に外国の将軍と会ったときに「自警団が戦車まで持っているとはお前の国はすごいな」と言われたという逸話が、自衛隊という外国にとって解釈し難いごまかしの看板を掲げさせられている組織の課題を示唆しています。
日本が国際社会に復帰してから時代は変わり、国内外情勢も当時とは大きく異なってきています。それに伴い、様々なルールや考え方が改められリセットされています。ですから、防衛駐在官の問題を例に上げましたが、このようなこと端緒に戦後の経緯から生じたこのような状態を今こそ変えていくべきではないでしょうか。(おわり)
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