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2021-01-26 00:00
新大統領就任、これから日本外交の力が試される
鈴木 馨祐
前外務副大臣
2021年1月20日、アメリカでバイデン新大統領が誕生し、新政権がスタートしました。我が国にとって最も重要な二国間関係のパートナーであるアメリカの新たなリーダーの就任ということで、改めて祝意を表したいと思います。またトランプ前大統領も、様々な評価がありますし、特に最後には民主主義のあり方という意味で残念なこともありましたが、こと日米関係や対中政策においては非常に大きな役割を果たしていただいたと思います。日米関係や東アジアの安定への貢献に対して、改めて感謝の意を表したいと思います。
4年間のトランプ政権を挟んで、オバマ政権下で副大統領を務めたジョー・バイデン氏が大統領に就任するということで、外交チームにおいても、オバマ政権で携わったメンバーの登用が目立っている印象を受けます。今後の東アジア情勢、という以上に国際情勢を考えたとき、これからもアメリカに求められる役割は極めて大きなものがあります。特に中国の軍事的、経済的、覇権的圧力はオバマ政権下での状況とは次元が異なってきていますので、この点については、日本を中心に、台湾やオーストラリア、インド、ベトナムといった価値や利益を共有する国々が、それぞれのチャネルでアメリカの新政権の中枢に明確に情報提供していく必要があります。
特に、伝統的な同盟を重視すると言われているバイデン政権の外交にあって、「伝統的な同盟重視」とは通常は大西洋・NATO・欧州諸国を重視するという文脈でとらえられますので、ワシントンにおいて東アジア・太平洋が正確な認識の下で高い優先順位でアメリカの国益にとって最重要と考えられるよう、当事国かつ同盟国として日本としても最大限の努力が必要です。
その意味で、新たな政権がスタートする時期にあって、香港やウイグルにおける中国共産党による弾圧という人権問題が世界的にクローズアップされていることは、そうした問題に敏感な米民主党においても大勢が中国の異質性に目を向ける好機でもあります。この機会をしっかりと活かして、安全保障やデータ・セキュリティ、経済・金融など様々な面で日米が深く連携していけるよう、そしてアジアにおける真の意味での安定に主導的な役割を果たしていくことが出来るよう、まさにこれから日本の外交当局の力が試されることになります。私も新体制の内部にも知己が多くいますので、自分の持つ様々なチャネルを活かしながら出来る限りの貢献をしてまいります。
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