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2021-01-23 00:00
(連載2)日本経済に模範示した台湾の2020年
真田 幸光
大学教員
筆者は、このように、「強い台湾」を体現した主役は、2016年5月に総統に就任した蔡英文総統であると見る。蔡総統は、「脱中国本土の産業政策」を全面に掲げて、台湾経済復興を進め、「量より質の国家経済運営体制」を進めている。蔡総統は、中国本土で高賃金化が進んで企業環境が不安定になっていることから、中国本土に進出している台湾企業の国内回帰を積極的に誘導し、質の経営に転換することを求める国家として台湾の産業界の変革を進めるべく、台湾企業に台湾回帰を促した。
その結果、台湾企業は中国本土の工場などを撤収して台湾にUターンすることを決めた企業が増え、台湾への再投資計画を明らかにした企業は100社を優に超えた。こうした企業の中には、世界最大の自転車メーカー「ジャイアント」や、コンピューターメーカー「コンパル・エレクトロニクス」、世界最大のファウンドリ(半導体の受託生産)企業「台湾積体製造」などがあり、これらの企業は既に台湾への移転を完了したか、または移転を進めている。そして、これらの企業の台湾への投資計画は5,047億ニュー台湾ドルにも達している。
如何であろうか?こうした台湾が行っている経済産業政策と同様の国家運営政策を取らなくてはいけないのが、「日本」ではないだろうか?国内市場規模が中途半端に大きく、国内での量のビジネスに決別し、日本も、「量よりも質」へのビジネス転換を図り、一旦、「少量・変量でも良いから多品種、高品質で高利潤」が取れる体制を整えた上で、
「大量、多品種、高品質、高利潤」が取れる国家へと再生を図る道を探るべきではないだろうか?そして、その為にも、質を重視する、日本が誇る、「中堅・中小企業」を軸とした国家経済再編を推進、「日本に居ながらにして基軸通貨を稼ぐ企業」を応援して、その結果、「雇用機会を増やし、税収を拡大する」と言う国作りを目指すべきであると筆者は確信している。そして、そうした意味で、今の日本政府が推進する経済産業政策は間違いであると筆者は考える。
但し、台湾政府・財務部の輸出入統計によると、台湾の最大の輸出相手国は昨年1月から11月まで中国本土(香港を含む)であり、総輸出の43.8%対中輸出と、過去20年間で最高となっており、また、貿易収支の黒字も約800億米ドルと名目GDPの10%以上を占めていることになり、中国本土市場が、現在も台湾の経済成長の重要な原動力となっている点は留意しておかなくてはならず、一層の、脱中国本土化、量より質の経済への転換が必要とされていることは最後に付記しておきたい。(おわり)
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