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2021-01-22 00:00
(連載1)日本経済に模範示した台湾の2020年
真田 幸光
大学教員
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策を上手に行ってきた台湾は、会議や授業などのオンライン化が進む世界情勢を背景に、自国の軸となる強い産業である電気・電子・半導体分野を背景にして、「2020年一年で最も輝かしい経済成長を遂げた国」と評価された。人口僅か2,357万人の台湾としては、量より質の経済体制への転換を一層進めようともしていると筆者は見る。
こうした中、台湾の行政院は、「当初1.56%となっていた2020年度の経済成長率見通しが2.5%を超える実績となった」ことに強い自信感を示した。即ち、これは、世界的な国際機関である国際通貨基金(IMF)が2020年10月に予想した中国本土の経済成長率0.9%、そして直近の見通しとなる2.1%をも上回る実績見通しとなったのである。IMFは昨年10月、台湾の2020年の経済成長率を0%と予測していたが、昨年10月と11月の台湾の輸出額が単月ベースで過去最高(1位と2位)を記録し、昨年下半期の経済が予想以上の実績を示したことが、こうした高成長の背景となったと分析している。これにより、台湾は1991年以来、29年ぶりに中国本土の経済成長率を追い抜くことになり、規模の経済性を求め、量で力任せの経済成長を目指す中国本土を横目に涼しい顔で国家経済運営を図り、実績を上げたことになったのである。
そして、IMFの2021年度の経済成長率見通しでも、台湾は3.2%が予想されており、「質を求めた比較的高い安定成長」を達成することは間違いないと見られている。更に、こうした堅実な経済実績もあって、昨年来、台湾の通貨・ニュー台湾ドルは高位安定的に推移し、国際経済社会での信頼も得ている。こうした為替動向を背景にして、台湾の1人当たりの国民所得も史上初めて3万米ドルを超える可能性は高まる。
また、新型コロナウイルス対策を実施する為、セーフティーネット構築に注力した世界の主要国は、財政を悪化させた国々が多いが、IMFは最近の報告書で、国内総生産(GDP)に占める政府債務比率について、「台湾は2017年の34.0%から2020年は35.6%へと微増するものの、2025年には29.3%となり、安定的に管理されていくであろう」との見通しを示している。国の予算を管理する台湾政府の財政運営能力面でも、台湾は模範国家として認められている。(つづく)
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