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2007-07-13 00:00
再び外交マヒ?
河東哲夫
Japan-World Trends代表
日本は再び内政で大騒ぎだ。一年前、皆であれだけ持ち上げた安倍総理を、今度は皆で「持ち下げて」いる。バブル崩壊後の日本経済はようやく持ち直してきたが、企業の利益は賃金より投資に向けられているために、国民は相変わらず「下層に落ちる」潜在恐怖からか、内向き志向が全然抜けない。外交にしても、感情論が先にたつ。参院選が荒れれば、日本は再び外交マヒ症状を一層強めることだろう。
だがアジアでも、情勢はそんな日本を置いてどんどん進む。北朝鮮の核廃棄問題ばかりではない。今日の新聞ではヒルズ次官補が、北東アジア安全保障についての対話の枠組みを作るための議論を進めたいと述べている。そしてライス長官もかねて数度にわたり、同種の考えを公言している。これは六ヵ国協議の部会の一つのテーマとなっており、ロシアが担当しているものだ。
自分は、東アジア諸国間だけの協力で安定と繁栄と自由を維持できるとは考えない。東アジアの Status Quo は日米同盟が支える米国の軍事力によって担保されており、東アジア諸国の繁栄は米国が戦後60年以上にもわたり自由貿易にコミットし、現在でも実質的には東アジア諸国の最大の貿易パートナーとして存在していることによって確保されているからだ。
別の言葉で言えば、東アジア諸国はいつまでも19世紀的国民国家モデルを追及し、ナショナリズムを追及して角突き合わせていくより、安定の維持のための集団的な協議の場を充実させていく方が、各国の利益に適うのだと思う。それは日米同盟に代わるものではない。日米安保をアジアの安定維持のための「共同資産」として組み込んだ形での、対話の場を確保するということだ。
同種の問題を扱う、ARFという場もある。しかしARFは焦点が広がりすぎ、参加国が多数で議論が進んでいない。新しい場が必要だと思う。日本は外国に対してキレルとか、なじるとか、付き合わないとか、それだけでは孤立するだけだ。そのような路線は、どんなに優れた政治家でも外交官でも、とても実行できない。国と国の間の関係は感情だけではなく、日本の周りにどのような国際関係を作り出すのか、つまりどのような枠組みを作っていくのかという観点からも運営されなければならない。
米国が日本を特別視してくれることに期待しているだけでは、ジリ貧になる。新しい枠組み作りについて積極的に発言、提案していかなければ、日本は自分で自分を対米依存に追い込むことになる。
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