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2021-01-14 00:00
(連載2)日本こそ台湾を巡る問題を見直すべきだ
宇田川 敬介
作家・ジャーナリスト
筆者の私見としては、現在の台湾(中華民国)と中国(中華人民共和国)の関係は、もともとは中国大陸における「国共内戦」の結果であり、両岸関係史においては「内戦中」ということでしかない。また、国際法的には、内戦中の独立政府(内戦政府)に関しては、その独立が認められ、「亡命政府」などの類もこれに含まれることからチベット・ウイグル・内モンゴルの亡命政府に関しても、同様にその独立が認められるといえよう。それを踏まえれば、そもそも「中国」には中華人民共和国一つしかないのに亡命政府が様々な出来ているということ自体、北京政府が国内の人々の融和や対立の解決を対話や議会によって図ることをしていないことを示しているということだ。
中国の大陸内部の少数民族がそのような状況にあることは当然に台湾人も知っている。これを踏まえ、台湾が一国二制度を認めないのは、「内戦中の独立政府」つまり、「いまだ内戦中であるから独立した政体である」という意思表示をする意図があるのだ。対する北京政府側は「国台弁の劉結一主任(閣僚)と中国の対台湾窓口機関、海峡両岸関係協会の張志軍会長は元日、新年のあいさつを各自発表し、『祖国統一を推進する』『両岸(台湾と中国)統一の歴史の潮流を変えることはできない』」<同記事より抜粋>という主張だ。日本は政府レベルでは「中華人民共和国を中国の唯一の合法的政府」と承認し、「台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部である」と表明する「中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重」しているのであるが、つまり、実質的には中国共産党の主張に事実上文句がないと認めているのと同じである。
この日本の台湾についての立場は、日中共同声明当時の複雑で困難な日中関係を踏まえて生まれたものであったのは確かだ。だが、中国と台湾の国力差が決定的に開き、中国の脅威が米国も持て余しつつあるほどに高まっている東アジア情勢にあって、北京の論理に流されたままの日本は今や経路依存的だ。現行方針では将来的な中国による台湾の統一を防ぐことにはつながらないのではないか。
そのような硬直化した台湾政策に新たな工夫をしてもいい時期ではないか。現に米国は要人往来などで布石を打っており、日本も変化をもたせるのには好機であろう。このような中にあって、なお中国のチャンスに迎合しリスクから目を背けた発言をする政治家に対して、はっきり言って筆者は「恥ずかしくないのであろうか」と思わざるを得ない。今の菅内閣や二階幹事長には期待できないが、中国の主張を否定するだけの力を持った日本国政府を期待するものである。(おわり)
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