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2021-01-12 00:00
日本共産党よ、「社会民主主義政党」に生まれ変われ
加藤 成一
元弁護士
日本共産党は、かねてより、共産党が政権に参加する「野党連合政権」の樹立を提唱し、立憲民主党などの野党各党に協議を呼びかけてきた。しかし、今のところ、その他の野党から「野党連合政権」に賛同する声は出ない。たとえば、立憲民主党の党綱領では「自由と多様性が尊重される共生社会を目指す」となっており、枝野代表も「共産党とは安全保障と天皇制に関する考え方が明確に異なるから、一定の連携は必要だが限界がある」(2020年12月23日ダイヤモンド誌インタビュー)と述べている。国民民主党の基本理念も「自由・共生・未来への責任」となっており、共産党に対しては立憲民主党と同様の立場である。また、立憲民主党や国民民主党の支持母体である「連合」の神津会長も「共産党が入った連立政権はあり得ない」(2020年10月15日定例記者会見)と断言し、共産党参加の「野党連合政権」を明確に否定している。このように、主要野党及び支持母体がいずれも共産党参加の「野党連合政権」に否定的であるのは、共産党とは基本理念と基本政策が根本的に異なるからである。
共産党の基本理念は、「暴力革命とプロレタリアート独裁」を核心とする共産主義革命思想である「マルクス・レーニン主義」(「科学的社会主義」)を理論的基礎とし(党規約2条)、「二段階革命」により統一戦線の政府である民主連合政府の樹立を経て、社会主義社会、共産主義社会の実現を目指し(改定党綱領五―16・17参照)ており、立憲民主党及び国民民主党の基本理念とは根本的に異なる。また、基本政策についても、共産党は安保廃棄・自衛隊解消・天皇制廃止を目指しており、他党とは一線を画する。また、共産主義に対する日本国民の根強い警戒感の存在も無視できない。すなわち、旧ソ連共産党による圧政、中国共産党による天安門・香港・ウイグル・チベットでの弾圧、北朝鮮労働党による恐怖政治は周知の事実である。また、外国の共産党政府によるもののみならず、日本国内においても1950年~1953年における、いわゆる「日本共産党分派」による火炎瓶闘争・交番襲撃などの破壊活動や中核自衛隊・山村工作隊などの極左冒険主義・武装闘争路線(党中央委員会著「日本共産党の70年上」240頁1994年新日本出版社)などを経験した日本国民の恐怖感は根強い。
今年秋には衆議院議員の任期が満了する。共産党を含む野党が政権奪取を目指してすべての衆議院小選挙区で候補を一本化する共闘体制を確立できれば、与党自民党にとっては脅威であろう。なぜなら、これまでの衆・参の国政選挙における立憲、国民、共産、社民、れいわ新選組など野党各党の得票数を合わせると、自民党の得票数と大差がないからである。このことから、自民党政権にとっては、野党勢力の結集が最大のリスクであることがわかる。それにもかかわらず、主要野党がいずれも拒否反応を示す共産党の理念や政策に同党が固執することは、「野党連合政権」の芽を摘むと同時に、自公の党勢を図らずも助長しているともいえる。
その意味では、結果的に、「野党連合政権」を訴える日本共産党の存在は、与党にとってはある意味、非常にありがたいものと言えるのではないか。日本共産党がこの状況を打開し野党政権に参加するためには、何よりも、「マルクス・レーニン主義」を放棄し、同時に「安保」などの基本政策を根本的に変更し、フランス、イタリアなどの西欧共産党のように、自由と民主主義を尊重する「社会民主主義政党」に生まれ変わる以外にはないと筆者は考える。
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