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2021-01-07 00:00
(連載1)対中政策、2021年の方向性は?
岡本 裕明
海外事業経営者
11月末に中国の王毅外相が来日した際、習近平国家主席の来日案件については話題に上がらなかったとされます。王毅外相の訪日の目的は各種外交問題やオリンピックへの協力などとされ、菅総理とも会談をしていますが、その間に習近平国家主席の来日環境をチェックしたことは間違いないと思います。王毅氏が本国でどのような報告をしたのかでありますが、想像するに「訪日する環境は見いだせる」といったところだと思います。つまり、一部の自民党議員の間から習氏来日に強い抵抗感があるものの切り崩せるわきの甘さがあると見たと思います。また、天皇陛下の外国要人との会見もコロナ禍で2020年がなく、2019年以降、アメリカ、フランス、トルコ、サウジ、コソボ、ローマ法王、ウズベキスタンおよび19年8月に開催されたアフリカ開発会議に出席したアフリカ各国に留まっています。
とすればコロナ後の外国賓客との会談で一番乗りを果たしたい、特にバイデン氏より先を切望しているのではないでしょうか?そのコネクションは二階氏であり、二階氏が動けば菅総理を含め、全体を動かすことは可能になります。タイミング的にはオリンピックを開催するのであればその前に照準を合わせると思います。オリンピックでの協力関係を結んだのはその伏線ではないかとみています。
では「バイデン氏のアメリカ」が誕生すると本当にバイデン氏は中国に厳しい態度で示すのでしょうか?対中姿勢を厳しくしたいという気持ちはバイデン氏にもあると思います。しかし、切り崩される公算が高い気がします。というのも、国務長官候補がブリンケン氏ですが、彼はアジア関係の業務経験がないはずで専門ではありません。国防長官候補の黒人のオースティン氏は中東の中央軍司令官経験者で中国のノウハウには遠い方です。敢えて言うなら通商代表候補に台湾系女性のタイ氏を起用していますが、彼女はまだ45歳とまだまだ経験不足で中国の厳しい圧力をどうかわしていくのか、特に台湾系の通商代表が相手であれば中国は敵対姿勢を示すとみています。つまり布陣を見れば姿勢と事実はかけ離れたものになりそうです。
もう一つはバイデン布陣がバランス配置を最優先したため、力のベクトルが集中できず、政権がバラバラで理想論だけを振りかざす曖昧な政策を打つ結果になるかもしれません。私が恐れているのは、バイデン氏が功績をあげようと焦って日本に無理強いをする可能性です。つまり、アメリカができない分、日本がやるべきだという世論形成をしかねないというリスクです。(つづく)
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