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2020-12-26 00:00
中国のローマ字表記について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
中国語は、本国で13億以上、海外で2億以上の人々が話す世界で一番多くの人が使う言葉だ。日本の新聞と中国の新聞を比較して不思議に思うのは、日本は縦書き、中国は横書きなことだ。日本の縦書きの理由は、他の理由もあるが、漢字を使うのでそのほうが座りが良いというものだ。それでは漢字の本場の中国では、どうして横書きなのかということになる。50年代以降90年代ごろまで、中国は真剣に言語のローマ字化を考えていたのだ。日本の近代化への成功を横目で羨望の眼で見て、それに追いつくためには、中国の儒教などの伝統的考えを一旦つぶさなければならないと知識人たちは考えたのだ。
それゆえ、繁体字の漢字をまず簡略化し、それにPINGYINと言う中国のローマ字表記を付け、将来的にはローマ字化してしまおうとまで考えたのだ。そうしなければ、中国はいつまでも旋回の先進国に追いつけないと思ったのだ。50年代、60年代中国を訪問した日本の我々の先輩のチャイナサービスの人間は、良く中国人幹部から、我々は将来言語をローマ字にすると聞かされたのだ。慌てた日本は、東大の倉石武四郎教授のローマ字表記の辞典の出版や実藤恵秀早大教授のローマ字中国語学習などが流行った。しかし、初学者にとり、漢字のとっかかりがなくローマ字だけの文章の読解は極めて難しく、特に古文などは同音意義の字が多すぎ読解不可能ということが分かった。知人の中国人によると、このローマ字化への流れを完全に断ち切ったのは米から世界へ普及されたインターネットだった。これで漢字の作成は音が分かれば容易になり、漢字の使用も一部の特権階級の使用から誰でもが容易に使えるようになった。
中国のローマ字表記は、1977年に国連の「地名標準会議」で正式に採用され、台湾も長いこと独自の発音記号「注音符号」で頑張ったが、2009年にローマ字表記の採用に踏み切った。時に大陸とその他中国語圏とで人名などのローマ字の綴りが異なり、英語学習者が混乱することもあるが、一国二制度を強く標榜する欧米の政府もリベラルな人々も、中国の発音記号使用で統一しているようだ。
そして一時は、中国にとり絶望的に思えた先進国入りも夢ではなくなってきた。勿論、知識人たちは、中国語の現代言語としての弱点、時制が省略される語と語の関係が読み手の判断になり勝ちなど、現代社会で世界とやりあうには不適格とも見ている。しかし、知人の知識人は、「『これは、一部エリート層が英語に熟達し、中国語と二言語を使い対応すればよい』、そして中国と米国の経済その他分野においての敵対状態の中でも、コロナ禍で『世界からの米国への留学生が減る中で、中国からは増えている』と述べている。彼が言うには、米政府は口では厳しいことを言うが、米の大学は、他の英語圏の大学と比較しても高額な授業料を気前よく払ってくれる中国からの留学生を歓迎せざるを得ないのだ。そうでなければ、大学の財政が持たないのだ。中国としても、漢字の普及に米の先端機器であるインターネットが大きな影響を果たしたように、中国政府も口では、自力更生を叫ぶが、世界との分断、特にナンバーワンの国である米国との分断は絶対に避けなければならない。
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