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2020-12-22 00:00
(連載1)盗まれた米大統領選
斎藤 直樹
山梨県立大学名誉教授
12月14日に米大統領選の選挙人は「正式」に確定した。14日にバイデン氏は「選挙は正当で自由で、公正であった」と述べたが、はたしてそうであろうか。現時点で共和党支持者の77%が大統領選で重大な選挙不正があったと考え、68%が大統領選が盗まれたと感じているとされる。(“Trump Insists Election Challenges are “Not Over,”
Fox News
, (December 14, 2020.))しかもトランプ氏が敗北を認めるべきであると考えている共和党支持者は3%に過ぎないという。他方、民主党支持者の約1割が重大な選挙不正があったと認識しているとされる。11月3日の大統領選の投票日からまもなくして、CNNを始めとする大手テレビ局のアナウンサー達が大統領選において不正が一切なかったと、異口同音で大声を張り上げた。この様子を伝える映像を「フォックス・ニュース」が最近放送したが、そうした映像をみると、不正がなかったと各局のアナウンサー達が何故、断言できたのか違和感を覚えざるをえない。不正が全くなかったと断言すればするほど、不自然さを感じざるをえない。大体、不正があったかどうか、視聴者から尋ねられたわけでもないにもかかわらず、不正が全くなかったとアナウンサー達が声を張り上げていたのは、誠に下手な芝居を見せられた感じがする。あたかも不正がなかったと発言するように大手メディアが事前に申し合わせていたとしか思えない。
その後、時間が経過するに連れ、不正はなかったとの報道を反証するかのように、不正を裏付ける証拠が次々に挙がり出した。想像をはるかに凌ぐ規模で深刻な不正が行われていたのである。とは言え、大統領選で不正が大々的に行われたことは米国だけでなくわが国のメディアも報道していない。これがさらに不自然さを助長させる。多少の不正があったとしても特段不思議でないものを一切、不正がなかったと言い切るのは何故なのか。そこまで不正を隠すのは一体、何故なのか疑問に感じざるをえない。大手メディアが全く報道しないとは言え、ありとあらゆる選挙不正が行われたことが知れわたったのはトランプ大統領が膨大な数の不正が行われたと連日、ツイッターに書き込み続けたことが大きい。これと並行するかのように、保守系メディアの「フォックス・ニュース」、OANN、NEWSMAXなどが不正に関する報道を発信し続けた。この結果、大統領選であからさまな不正が堂々と行われたことが米国民の多くの知るところになったのである。
11月3日の投票終了を受け開票が始まった当初、問題の激戦州のミシガン、ウィスコンシン、ペンシルベニア、ネバダ、アリゾナ、ジョージアにおいてトランプ候補が大きくリードしていた。ところが、現地時間の4日の未明(日本時間では4日の午後過ぎ)からトランプ候補のリードが急に鈍くなり、バイデン候補の猛烈な巻き返しが始まった。まもなくこれらの激戦州のトランプ候補のリードはいつの間にか消え、逆にバイデン候補の逆転が始まり、その差は徐々に広がり始めた。それにしても現地時間の深夜の一定の時間に尋常でない大量票がバイデン候補に流れていたことが明らかになるにつれ、ただ事ではないことが起きたことに疑義が発せられることになった。特に、ウィスコンシンで4日の午前3時42分(現地時間)に14万3379票が一挙にバイデン候補に入った。(@realDonaldTrump(November 19, 2020.))これを映し出したグラフをみると、この瞬間にバイデン票は突如、垂直的な伸び方をしていたことがわかる。結果的に、このときに投じられた大量票が同州での勝敗を決した。選挙人10人のウィスコンシンの最終結果はバイデン候補の獲得票数が163万673票であり得票率は49.5%であった一方、トランプ候補の獲得票数は161万65票であり得票率は48.8であった。両者の得票差は2万608票に過ぎなかったことを踏まえると、上記の14万3379票の大量票がほぼ完全に勝敗を決したと言っても過言でない。(「米大統領選 州ごとの速報 ウィスコシン州」ロイター(2020年12月7日。))
またミシガンでは4日の午前6時31分(現地時間)に13万4886票の大量票がバイデン候補に入った。(@realDonaldTrump(November 20, 2020.))選挙人16人のミシガンでのバイデン候補の獲得票数は280万4040票であり得票率は50.6%であった一方、トランプ候補の獲得票数は264万9852票であり得票率は47.8%であった。両者の得票差は15万4188票であった。(「米大統領選 州ごとの速報 ミシガン州」ロイター(2020年11月29日。))上記の13万4886票が一挙にバイデン候補に入ったことがミシガンでの勝敗を大きく左右する格好となった。10万以上の票がバイデン候補に一挙に入ったことを不自然とみたトランプ氏は大規模不正によるに違いないと疑ったのである。トランプ陣営はまもなく大規模の不正が確実に行われたと判断し、ジュリアーニ氏(元ニューヨーク市長)を筆頭するトランプ弁護団(Trump Legal Team)を結成し、独自の調査を開始した。当初、バイデン候補に敗れたトランプ候補の悪あがきとしてメディアから冷たくあしらわれたことは周知のとおりである。しかしトランプ弁護団は本気であった。まもなく百人を優に超える数に及ぶ内部告発者を見つけ出し、ペンシルベニア、アリゾナ、ミシガン、ジョージア、ネバダなどで各州の議員が出席する公聴会を開催するに至った。これだけの短期間で選挙不正に関する公聴会を開催し、大規模不正にまつわる事実を広く知らしめた弁護団の活躍は目を見張るものがある。(つづく)
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