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2020-12-06 00:00
(連載2)王毅外相発言で動揺する政府の尖閣戦略
倉西 雅子
政治学者
それでは、日本国政府は、この難局をどのように乗り切るべきなのでしょうか。最も重要なポイントとなるのは、中国の武力による尖閣諸島の奪取を、国際社会から国際法上の侵略行為として認定してもらうことです。それは、日本国政府が、中国の主張を一切認めることなく、国際法上において日本国の領有権を確立させることを意味します。つまり、領土問題が内包する意味を‘中国の主張の一部容認’から’中国の主張の全面否定‘に変えるのです。
国際法上の領有権確立の効果として期待できるのは、第一に、侵略行為として認定できさえすれば、個別的自衛権であれ、集団的自衛権であれ、中国による侵略行為を自衛隊、並びに、日米両軍によって排除することができる点です。つまり、領土問題化に伴う日本国政府の懸念は、払拭されることとなるのです。第二に、日本国の領有権が確定されれば、それは、中国に対する強力な抑止力ともなります。王毅外相は、尖閣諸島を中国領と強気に言い放っていましたが、法的に領有権が確定している他国の領域を占領すれば、侵略行為として激しい批判を受けることを、中国は、覚悟しなければならなくなります。そして第三に、日本国が、法的手段を以って同問題を平和的に解決する姿勢を見せることは、国際社会における法の支配の実現に大きく貢献することとなりましょう。
以上のように考えますと、日本国政府は従来の主張を繰り返すのではなく、これまでの基本方針を抜本的に見直し、尖閣諸島の領有権確立に向けて戦略を練り直すべきなのではないでしょうか。最も望ましいのは、国際司法機関への提訴ですが、国際司法裁判所の場合、解決の付託には両国政府の合意が必要となりますので、現状では難しいのですが、竹島問題でも指摘されているように、領有権確認訴訟としての形態であれ、単独提訴は試みるだけの価値はあるはずです。
また、南シナ海問題で判決を下した常設仲裁裁判所であれば、日本国のみによる単独提訴は可能です。あるいは、現状の国際司法制度では、領有権確認訴訟の道が閉ざされているのであれば、同制度の設立を国際社会に提案することも、遠回りのようですが、尖閣諸島問題の平和的解決のみならず、国際司法制度の発展を促すことにもなりましょう。座して死を待つよりも、日本国政府は、知恵を絞るべきではないかと思うのです。(おわり)
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