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2007-07-06 00:00
安倍政権の安全保障政策の今後の課題
石原雄介
大学院生
安倍政権は昨年9月に発足して以来、防衛庁の防衛省への格上げや自衛隊の国際平和協力活動の本来任務化など「戦後レジームの脱却」というスローガンの下で、従来なかなか進展を見ることがなかった個別の安全保障案件を着々と現実化させている。このような我が国の安全保障におけるさまざまな制度化は、当然のことながら、東アジアの国際環境における日本のプレゼンスを大きく変化させるものである。
裏返せば、東アジアの国際環境における日本への role expectation が変化したことで、そのような現実化が可能になったということもできる。いずれにしても、このような変化は東アジアの国際環境を望ましい方向に進めるものでなければならない。日本とアジア近隣諸国、とりわけ中国や韓国との関係をどのように再構築していくべきかも問われることになろうし、また、日米同盟のあり方についても東アジアの国際環境という大枠のなかで新たな定義を与える必要がある。
その意味では、安倍政権が打ち出した安全保障上の様々な措置に対し、最終的な評価を下すのはまだ時期尚早かもしれない。これら個別の措置が、総体としてどのような戦略的枠組みに埋め込まれるかがまず問われるべきである。安倍政権は、今後「戦後レジームの脱却」という後ろ向きの視座を超克して、これらの措置を肉付ける積極的な戦略的ヴィジョンを構想する必要があろう。国際環境の中で日本のあるべき姿を明確に認識し、また東アジア諸国やアメリカとの関係を未来志向で捉えることが何よりも肝要であろう。すべてはこれからなのである。
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