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2020-11-25 00:00
(連載2)今更盛り上がる朝鮮戦争の議論
岡本 裕明
海外事業経営者
中国はそもそも何をしたかったのかといえば満州をソ連から取り返したかった、そのためには朝鮮半島の一定の支配が必要だった、これだけです。毛沢東にとって都合がよかったのはソ連のスターリンがなぜか朝鮮戦争のときに死んだ(暗殺説もあり)のです。この後のフルシチョフは全然だめで毛沢東は前線で指示をしながら満州の支配権を取り戻しているのです。では、毛沢東にとって金日成は何だったか、といえば重視をせず、利用しただけだったということだと思います。金日成は逆に毛沢東とスターリンを天秤にかけたと自負していますが、それはないでしょう。
一方の韓国はどうだったかいえば、こちらはもっとひどいのです。李承晩と言えば韓国建国、初代大統領と学校では習っているはずです。ところが韓国は独立前に未曽有の大混乱に陥っています。というのも、日本統治時代は安定した国家の形づくりが行われていたのに日本がいなくなったために、テロリストの金九やヤクザのような李承晩らが覇権争いを行い、李承晩が内戦の敵を全部暗殺して覇権を確保したからです。李承晩は済州島での島民大虐殺を含め、とにかく思想に反する自国民に対して虐殺、暗殺を繰り返し、朝鮮戦争になっても戦いにならなかったというのが正直なところであります。結局、そうみると朝鮮戦争では北朝鮮も韓国も自陣営の主導権を握れるわけがなく、当事者不在の代理戦争そのものであったのです。その最終構図は中国VSソ連でした。中国が勝ち上がったことで、中国とアメリカのガチンコ勝負の構造が残ったのが今です。
それが歴史なのに文大統領が統一コリアなんて言うのは歴史を知るアメリカからしたら笑わせるんじゃない、ということなのでしょう。冒頭の習近平、駐韓米国大使、北朝鮮の談話が示す歴史観が全てバラバラでなのも、朝鮮戦争が休戦になって67年も経つのにさっぱり進展がないからともいえます。
個人的には文大統領のいう統一コリアは、私(50代)が生きている間はないと思います。仮にそれが化かしあいの結果、まとまったとしても3日後には喧嘩別れするような脆弱な合意しか作れないでしょう。それほどに、統一国家を作るには様々な要素が足りていないのです。なお、中国にはあまり頭が上がらない、けれど最近はアメリカにはかなり言いたい放題になっている、これが南北朝鮮の共通した現状だと思います。「朝鮮半島と距離を取れ」といった言説が日本で力を持つのは、右とか左といった思想の問題ではなく、根本的な理由がわからずとも韓国や北朝鮮とのやりにくさを日本人自身が痛感しているからでしょう。そのような人こそ、朝鮮戦争を見直して、改めてこの半島を巡る流れを理解すべきだと思います。(おわり)
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