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2020-11-19 00:00
カナダをお手本に
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
この12月から中国は、経済面での引き締め「輸出管理法」を米の制裁への対抗として施行する。日米以外でも、やっと西欧も目覚めたかのように対中国警戒心が出てきた。コロナ禍はじめ凄まじい膨張主義、軍拡、国内での人権無視の弾圧など中国へのイメージは悪化の一途だ。しかし、ここで日本は少し下がって平静に考えるべきだ。80、90年代日本が今の中国のようにライジングサンとして警戒され出したころ、日本の在米企業は、ココム違反などで、思いもかけぬ容疑で逮捕された。日本と米とでは同じ法治国同士でも法の思考が異なる。私の知り合いの企業は、在米の支店で近くの教会の方が寄付を求めてこられた際、気軽になにがしかの寄付をした。ところがその日本企業は、その頃偶々、他の米企業と裁判を抱えていた。そうしたポジションの時には寄付行為は絶対ダメだそうで、それもあって裁判に負けた。経済問題の対立と言っても最後には文明の差異にも行き着くのだ。
日本は、これから2大国の米と中国に挟まれいろいろ苦しい立場に追い込まれることも予想されよう。日本は安全保障は米頼みであるが、経済は米も大事だが、数字だけでは、中国との取引の方が多いし、すでに投資も大分している。米が中国に対し制裁を加えると宣言し、同盟国も従えと言ってきたときにどうするかだ。この備えとしては、日頃から米側カウンターパートとよく意見の疎通を図っておくことは勿論だし、日本は中国と異なり民主と自由を尊ぶ国であることをしぶとく浸透させておくことが必要だ。幸いなことに、米企業も中国への投資は少なくないしその市場を捨てきれないでいる。彼らとの普段からの情報交換も大事だ。
日本と同じように大国に挟まれ、安保は米、経済は中国と言う国を探したら、カナダがあった。カナダは日米より一足先に中国と国交を結び、最初は細々と取引をしていた。時は、文化大革命真っ最中で、毛沢東が君臨していた。その毛沢東が、解放戦争の際、共産党軍で働いたカナダ人医師を称える文章を発表し、それが国定教科書に載り、カナダは一度に全中国人民の敬愛する西側の国になった。日本などが言うと、頭から反中的態度だと取り締まりの対象になりそうなことも、カナダが言うと「うやむにゃ」となった。
その頃、外国人の間で針治療が流行った。あるときカナダ大使館は在北京の外国人向けのお知らせで、その針は使いまわしであることが多いので、信用のおける漢法医師に、針を持参してかかることを勧めます、など、きめ細かく中国の暗部を教えてくれた。決して情報を隠匿せず、皆で共有した。今、カナダ・中国関係は、米によるファーウエーの女性副社長の逮捕依頼を承諾後激変した。経済で虐められるだけでなく、外交官はじめ多くのカナダ人が拘束中だ。カナダにとりとんだ災難だ。しかし、カナダ政府も国民も「自由と民主」を真に信奉する国としての自覚を持ち、耐えに耐えている。カナダは多くの中国系の移民も引き受けている。カナダの世論も決して、極端な反中には偏っていない。中国への忠告は、そこに住む人間がよりよく生きるのを手助けするためだとも述べている論説もある。
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