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2020-11-14 00:00
国際場裏における日本の姿勢について考える
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
海外で見かける日本人は総じて、当地の法律、風俗習慣にうまく適応して問題なくやっていると思われる。一部後進新興国の人たちのような、聖なる宗教の聖堂内で山猿のようにうるさく騒ぎ立てることはないし、一部白人たちのように、現地人を蔑視しつつ、彼らの好意に甘えた生活を送るなどと言う現象は極めて少ないようだ。しかし、日本国内に帰ると、世界の常識を外れた言動になりがちに見える。以前東南アジアで某大企業の支店長が誘拐され長いこと拘束されたことがあった。政府も全面的に支援し、結局は、現地にネットワークを持つ欧米のセキュリティ会社の協力を得て無事に帰還出来た。ところが、無神経且つ無責任な同企業の社長がその記者会見で、その秘密の経緯をそのまま話してしまった。日本での話でもそうしたニュースは瞬く間に現地も伝わる。命がけで助けた人たちのネッワークに重大なダメージを与え、それを知る欧米人たちは激怒した。日本の航空機がテロリストにハイジャックされ、時の日本政府は、「人命は地球より重し」として、テロリストに莫大な金を支払い、かつ彼らの要求する仲間たちの犯罪者を世界へ解放してしまった。勿論、各国とも、常に「テロリストには絶対に譲歩しない」と言う金言どうりではないにしても、表に出ないような様々な工夫をしているのだ。
今の世界情勢で最大の懸案事項は、上り竜のごとく見える中国との関係をどうするかである。いろいろな論調を見ると、皆強い中国への対決方法について述べることがほとんどだ。しかし、一部米国学者が述べるように弱い中国こそ問題でもあるのだ。彼は、これから米はじめ、同盟国が手を結び本気になって対応した場合に、中国はやけっぱちとなり、かえって危険な状況を作り出す可能性があると恐れる。そして、その歴史における例として、第二次大戦前の米はじめその同盟国による、日本包囲網、石油など重要資源の禁輸などの措置の結果どうなったかと述べてもいる。
彼はまた、「中国は社会保障制度のネットワークを作り上げる前に社会の老齢化が始まる。今習近平中国は、南シナ海での傍若無人な軍事基地体制の構築推進、台湾に対する執拗な圧力、建国百年の今世紀中ごろまでの一人当たり1万米ドルの中流国水準から、3万ドル台の先進国水準へなどの予測が思わしくなく、国内での不満があふれた場合、その攻撃を防ぐ手段はただ力しかない。専制君主習近平も人間であるからには、何時不測の事態で倒れるかは分からない。その場合、今の後継者が定まっていない状況では、すさまじい権力闘争が続く恐れがある。もし中国社会が混迷を極め、数十万の難民が日米に押し寄せてきた場合、両国への影響は計り知れない」と述べる。
彼の話を聞きながら思い起こすのは、80年代の日本のバブルが続き、景気が良かったころ、多くの中国人の若者が就学生の名目で日本へ押し寄せた。急激に増えた中国人の若者の数に驚いた入管当局は、急きょ入国をストップした。多くの就学生たちは親戚、友人たちから金を借りまくって日本語学校へ既に前払いをしていた。日本では、雨後の筍のように粗製濫造の日本語学校が、中国人とタイアップしたりして増えていた。そして、中には悪質な学校経営者がいて、それらの前払い金を持って逃亡してしまう者さえ少なくなかった。上海にそうした学生たちが多く、時の上海市長は後に総理となる朱鎔基で、彼は日本政府に泣きついてきた。大河原良雄元駐米大使が、引退後経団連の顧問をしておりその尽力その他多くの政財界の人たちの懸命な努力で、一般から多くの寄付金を募り、上海に基金を設け、若者たちを何とか間接救助できた。いわば、金で平和が買えた時代だった。今や日本にはその体力はないし、米国も弱まってきている。さてどうするかだ。
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