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2007-07-02 00:00
「食」と国際政治
櫻田淳
東洋学園大学准教授
6月29日、中国に向けたコメの輸出が4年ぶりに解禁された。第1陣として出荷された「新潟産コシヒカリ」と「宮城産ひとめぼれ」の計24トン分は、今月以降、北京と上海で販売され、価格は2キロで2500円から3000円程度になる模様である。これは、中国産米の20倍程度の水準であるから、日本産米は、経済発展に伴って登場した中国の「富裕層」を対象としたものであろう。昔日の中国で珍重された干鮑、鱶鰭、海鼠の「俵物三品」の列に、平成の時代に至ってコメが加わったのである。
同日付の『日本経済新聞』は、米国食品医薬品局(FDA)が6月28日、「エビやウナギなど中国で養殖された五品目の魚介類について輸入を一時停止すると発表した」と伝えた。中国産食材の安全性に対する疑念は、日本では以前から指摘されてきたところであるけれども、この危うさが国際社会に広く認知されるようになっているのであろう。そのことは、中国の国際社会における声望を損ねるものであろう。現下の中国政府は、来年の北京五輪や3年後の上海万博を控えて、国威の発揚に余念がないかもしれないけれども、「食材」の安全確保という点に手抜かりを示せば、そのような試みの効果も削ぎ落とされる。「食材」もまた、それぞれの国々にとって、「ソフト・パワー」の一翼を担っているのは、間違いないからである。
ところで、この「食材」の安全に関して、国際基準を構築するべく主導することは、日本の利益に結び付くであろう。振り返れば、日本の環境保護政策の原点は,水俣病やイタイイタイ病が象徴するように、「食材の安全」を確保できずに多くの人々の健康被害を発生させた事例にある。こうした観点からも、国際政治における「食」の位置を考えることは、大事であろう。
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