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2020-10-29 00:00
(連載1)米大統領選直前世論調査を読み解く
斎藤 直樹
山梨県立大学名誉教授
11月3日の米大統領選投票日がついに数日後に迫ってきた。大統領選世論調査が少なからず偏向し信憑性に疑問な選挙予想が氾濫する中で、比較的信憑性が高いとみられる「リアル・クリア・ポリティクス(RCP)社」の世論調査予想にしたがい、大統領選を予想したいと考える。10月28日現在(日本時間)、一般投票の予想では平均値でバイデン候補がトランプ候補に対し7.1ポイント(調査期間:10月16‐26日)の大差を相変わらず保っている。とは言え、勝敗を決するのは538人の選挙人総数の内、過半数の270人を獲得した候補である。現時点(10月28日)でRCP社はバイデンが獲得するであろうと予想される選挙人数は232人、トランプは125人、接戦なのが181人と予想している。このことから一見、バイデンが依然として圧倒的優勢であるように見える。バイデンが270人に達するためには後38人の上積みがあればよいわけであるが、これがなかなか容易ではない。
同社の予想によると、接戦とされる残りの181人の内訳の概要は以下のとおりである。その中で、トランプが優勢なのはテキサス(選挙人38人)(トランプ2.6ポイント優勢)、オハイオ(選挙人18人)(トランプ0.6ポイント優勢)、ジョージア(選挙人16人)(トランプ0.4ポイント優勢)、フロリダ(選挙人29人)(トランプ0.4ポイント優勢)に止まっている。続いて、平均値でトランプがバイデンに3ポイント以内につけているのが、ノースカロライナ(選挙人15人)(バイデン0.7ポイント優勢)、アイオア(選挙人6人)(バイデン1.4ポイント優勢)、アリゾナ(選挙人11人)(バイデン2.4ポイント優勢)などである。こうした状況の下で、トランプが優勢であるテキサス、オハイオ、ジョージア、フロリダに加え、現在平均値で3ポイント以内につけている州をトランプがすべて制することは統計上の誤差を考慮すれば、十分ありうる。ただし、それでもトランプの選挙人獲得数は258人に止まり、過半数に届くためにはもう12人が必要となる。
さて平均値で3から8ポイント以内でトランプがバイデンに離されている州はペンシルベニア(選挙人20人)(バイデン3.8ポイント優勢)、ネバダ(選挙人6人)(バイデン4.6ポイント優勢)、ウィスコンシン(選挙人10人)(バイデン5.5ポイント優勢)、ミネソタ(選挙人10人)(バイデン6.0ポイント優勢)で推移している。したがって、もしトランプが選挙人20人のペンシルベニアを制することがあれば、トランプの獲得数は一気に278人に達し過半数を突破する。逆にバイデンにとってペンシルベニアを落とせば、獲得数は270人に届かなくなってしまう。このように見れば、ペンシルベニアの闘いがまさしく天王山となろう。2016年の大統領選で接戦州の大部分をトランプが制したことに加え、ペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンなどラストベルトでは圧倒的劣勢をひっくり返したという経緯がある。このようにみると、ペンシルベニアが決定的なカギを握ることは間違いないであろう。ペンシルベニアを巡る両陣営の闘いが過熱しているのはこういう事由からである。26日にも両候補がペンシルべニアで大規模選挙集会を開催し、有権者に猛烈にアピールした。しかもここにきてペンシルベニアを巡る選挙予想統計にも変化が起きている。28日現在、上述の通り、ペンシルベニアは予想平均値でバイデンが3.8ポイント優勢とされるが、調査機関の“Trafalgar” (調査期間:10月24‐25日)がトランプとバイデンが拮抗していると伝えたのに続き、調査機関の“Insider Advantage”はトランプが2ポイント優勢(調査期日:10月25日)であると予想した。これは今までになかったことである。
しかも2016年の大統領選でペンシルベニア、ウィスコンシン、ミシガンでのトランプの勝利を唯一予想したとされる調査機関の“Trafargar”の責任者であるRobert C. Cahalyは10月22日に「フォックス・ニュース」とのインタビューで驚くべき予想を示した。(“Pollster who predicted 2016 result says Trump on track to win again with help of 'hidden' support”参照)接戦州では基本的に4年前の大統領選挙と大きな差異はないとし、同社の予想数字をCahalyは示した。それによると、テキサスでトランプが優勢であることはもとより、オハイオ(トランプ3.7ポイント優勢)、ジョージア(トランプ6.5ポイント優勢)、フロリダ(トランプ約2ポイント優勢)に加え、ノースカロライナ(トランプ1.7ポイント優勢)、アリゾナ(トランプ4ポイント優勢)などでもトランプが優勢である。問題はそれ以上に引き離されているとされるラストベルト3州やミネソタについての予想である。Cahalyによると、ペンシルベニアはバイデンが約1ポイント優勢、ウィスコンシンもバイデン1.3ポイント優勢である。ところが、ミシガン(選挙人16人)はRCP社の予想平均値ではバイデンが9.0ポイント優勢であるが、Cahalyによると、逆にトランプが0.6ポイント優勢である。他方、ミネソタはバイデンが0.4ポイント優勢とのことである。このCahalyの予想によると、にわかに信じられないがトランプが劣勢に立たされているとみられるミシガンをトランプが制することになる。(つづく)
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