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2020-10-16 00:00
(連載1)日本学術会議問題の本質は‘中国的なるもの’
倉西 雅子
政治学者
日本学術会議が推薦した新会員リストにあって、菅新首相が6名の候補者の任命を拒否したことから、目下、政府と日本学術会議との間で双方の応援団を交えた激しい非難合戦が発生しています。両者とも一歩も譲らずの姿勢を貫いており、かつ、野党側が政府批判の材料に利用しようとしていることから、この問題、さらなる混迷も予測されます。
日本学術会議に対する批判の核心は、同会議が、日本国の自衛隊に対する研究協力を拒みながら、中国に対する研究協力については積極的であった疑惑にあります。日本国政府は、この点については明確にしていません(中国への配慮が、首相が任命拒否の理由開示を拒む理由なのでは…)。ネット上の意見を読みますと、同会議に対する批判は対中協力に集中しています。同会議が2015年に中国科学技術協会と覚書を交わしていたのは事実ですし、同会議の会員には中国の千人計画への参加者も見られるそうです。同会議側は‘根拠がない’として否定していますが、筆者からしますと、これでは、日本国の防衛政策を妨害する一方で、中国の軍事大国化には協力していると見られても仕方がありません。
その一方で、政府に対する批判の的は、菅政権の‘独裁体質’です。今般の問題に先立って、菅首相が自政権の政策に反対する官僚に対して‘異動してもらう’と述べたため、同政権に対する強権志向の懸念が強まっていました。こうした矢先だったため、強い反発が起きたのです。おそらく首相による任免拒否は違法行為ではないのでしょうが、日本学術会議は、独裁体制下では失われてしまう公的機関の独立性(自立性)や学問の自由等を問題としているのです。
以上に、両者の対立点を簡単に纏めてみましたが、この問題を考えるに当たっては、3つの側面に分けてみる必要があるように思えます。第1の側面は、政府と軍事研究との関係です。例えば、一党が独裁する中国では、国民も企業も共産党の目的や国家戦略に奉仕する義務を負わされており、積極的に研究者に対して先端的な軍事技術の開発や提供を求めているのです。もっとも、程度の差こそあれ、軍事技術の研究が禁じられている国は存在せず、この点、日本学術会議が示した方針は現実に即していないですし、そもそも学問の自由を侵害しています。(つづく)
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