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2007-06-30 00:00
連載投稿(3)対中ODAの戦略的意義
廣野良吉
成蹊大学名誉教授
このように直接的な環境対策の成果のみならず、日中友好関係、健全な日中関係の構築の土台となる中国民大衆に直接裨益する形で多大な成果を収めてきたわが国の対中環境協力であるが、2年前の日中政府間合意に従い、2008年から新規の円借款の供与はなくなる。もちろん、技術協力や無償資金協力や地球環境基金等を通じた草の根協力は今後も続行されるが、インド、ブラジル、メキシコ、南アフリカ共和国等と並んで、中国が新興経済諸国の一環として、対外協力の拡充を進めている段階で、減少しつつあるわが国のODAを何故中国に供与しなければならないのかという疑問が、日本国民一般から生まれていることも事実である。
これに対する筆者の回答は明瞭である。第一に、中国での環境破壊は、わが国や近隣諸国への黄砂の飛来、酸性雨の降雨にみるように、日本国民の健康被害、森林破壊をもたらすので、中国だけの問題ではない。
第二に、オランダ環境評価局の発表によれば、自然発生を含めた二酸化炭素総排出量で、中国は昨年米国(58億トン)を抜いて世界最大の二酸化炭素排出国(62.3億トン)となった。温室効果ガスによる地球温暖化現象は、今や世界の最大の関心事となっており、中国におけるエネルギー効率の向上、再生エネルギーによる化石燃料の代替等は、わが国にとってのみならず世界にとっても緊急課題である。
第三に、中国はわが国にとっても最大の貿易相手国であり、いまや野菜をはじめ多種多様な食料品、医薬品の対日輸出国であり、中国における食品・医療衛生の改善は日本国民の食生活、保健にとっても最大の関心事である。
第四に、胡錦涛政権は第11次5カ年プログラム(2006-2010、計画という文字は消去)で三農問題、所得格差問題と並んで、環境問題の解決を最大の目標に掲げ、「科学的発展観」(全面的で、均衡の取れた持続可能な発展観――党16期3中総会決議)と「調和社会」あるいは「小康社会」(中国国民全体が改革と建設の成果を享受でき、公平で秩序ある法治社会の実現――党16期4中総会決議)の着実な実現を目指している。(つづく)
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