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2020-10-01 00:00
新立憲民主党は「二段階革命」に与するべからず
加藤 成一
元弁護士
菅新内閣が成立したが、新立憲民主党や日本共産党などの野党は早くも安倍政権を継承した菅政権の打倒を宣言している。衆・参国会議員150名を擁し野党第一党である新立憲民主党の小沢一郎氏は、9月24日のBS―TBSテレビ「報道1930」で、1年以内に野党の選挙共闘により次期総選挙での政権交代は確実に可能であると強調した。同党の枝野代表も共産党を含めた野党の選挙共闘により政権交代を目指す構えである。しかし、政権交代後の野党の連立政権に共産党を加えるかどうかは最重要問題であるにも拘わらず、枝野氏も小沢氏も政権交代後の「政権構想」を明らかにしていない。日本国民に対して極めて無責任である。
かねてより日本共産党は旧立憲民主党などの野党に対して、政権交代による「野党連合政権」を提唱し呼びかけてきた。その内容は、閣内・閣外を問わず共産党が連立政権に参画すること、各野党で一致する政策を実行すること、自衛隊解消や安保条約廃棄の共産党の主張を連立政権に持ち込まないことなどである(上記9月24日テレビ番組での共産党志位委員長発言)。志位委員長は2019年12月19日のBS―フジテレビ「プライムニュース」でも、連立政権で推されれば内閣総理大臣を引き受けると述べている。今回の首班指名選挙でも、共産党は20数年ぶりに新立憲民主党の枝野代表に投票している。しかし、党綱領によれば、共産党にとって、「野党連合政権」は、あくまでも同党の基本方針である「二段階革命」により「民主連合政府」さらに「共産党政府」を樹立し、社会主義・共産主義革命を断行するための手段であり一里塚としての革命戦略(「統一戦線戦略」2020年改定党綱領四の十四参照)に過ぎず、「野党連合政権」が終着駅ではあり得ないことに、日本国民は十分に注意する必要がある。
共産党の究極の目的は、「二段階革命」によって、日本を共産化するプロレタリアート独裁(「社会主義をめざす権力」2020年改定党綱領五の十七参照)の「共産党政府」を樹立し、「共産主義革命」を断行することである。共産党が革命戦略として「二段階革命」を基本方針とする狙いは、社会主義・共産主義革命に対する日本国民の恐怖感や抵抗感(「共産党アレルギー」)を緩和し解消するためであることを看過すべきではない。
しかし、共産党が「二段階革命」を断行することは、現行日本国憲法の根幹である、思想及び良心の自由、言論の自由等の基本的人権を保障する「自由民主主義体制」と根本的に対立し矛盾する。このことは、歴史上の社会主義国家に、上記の自由を尊重した国が存在せず、旧ソ連共産党による広範な言論統制や粛清が行われ、現在も中国共産党による香港・ウイグル・チベットへの過酷な人権弾圧等が行われていることを見ても明らかである。仮に、政権交代後の連立政権に共産党が加わるならば、「共産党アレルギー」を持つ日本国民が支持するだろうか。共産党と選挙協力などをしても政権交代自体が起こらないであろう。以上に述べた通り、筆者は、新立憲民主党などの野党各党が、選挙対策のために共産党と選挙区調整などですら手を組む行為は断固として拒否すべきと考える。そのほうが結果として、共産党以外の野党にとっては党勢拡大に資するはずだ。
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