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2020-09-26 00:00
(連載2)米ドルは基軸通貨を維持できるのか
岡本 裕明
海外事業経営者
では現在の政府が発行する信用通貨は本当にリライアブルかと言えば疑問は残ります。コロナの支援対策でアメリカの財政を含め各国は自国の財政に傷がつくどころか国によっては血まみれになっています。一方で財政の信用性がない国々、南米やアフリカ、東アジア諸国では自国通貨とドルを使い分けています。途上国ではホテルなどの支払いをドル建てにしているのは外貨獲得が国策として求められているとも言えます。ところがそもそものドルは本当に健全か、と言えば今のところは口にこそしないけれど基軸通貨と言えるほど絶対安全性が保証できないかもしれません。その理由の一つに、株式市場における狂気の沙汰ともいえる時価総額の上昇があります。GAFAやテスラをはじめ先週上場し一度も黒字になったことがないスノーフレーク社に時価総額7兆円という数字が付く現状なのです。これは、ハイテクバブルというより米ドルの物価が壊れているとみた方が正しく、ドルが不健全にまだ高すぎる傾向が見て取れるのです。
なんでこのような事態になったか、と言えば基軸通貨のバトンを英国からもらったアメリカが製造業をことごとくあきらめ、そして、資本主義でもその悪影響が出やすい部分、投資や投機を促進させ、国内産業の育成よりも高度な会社運営を発達させ、税制やマネーを技術的道具にし、世界の頭脳の集約や情報の集約などに特化しすぎたからです。このような事態が過剰な価値創出に一躍買ったのだろうと思っています。
本質的には、世界がもっと水平展開すべきところが垂直展開し、アメリカだけが特定の部分を牛耳ってしまったことが問題なのです。例えば、本来であれば他の主要国が金利を2-3%引き上げたらドル価値は崩落するはずです。アメリカはインフレになるでしょう。そうならないのは他の主要国が金利を引き上げられる自国経済のファンダメンタルズすら十分ではない垂直展開という名の従属状態になっているためなのでしょう。
一番怖いのは仮に通貨のデカップリングが生じ、中国元がデジタル元も含め、世界で流通するようになれば、この脆弱性がみられる基軸通貨ドルの覇権は崩れやすくなるという点です。よって個人的には西側諸国が通貨バスケットによるデジタル通貨を至急、作り上げるしかないと考えています。各国の信用ではなく、信用の持ち寄りによるバスケット方式でステーブル通貨を作り上げれば世界貿易は為替リスクも極端に少なくなり全く違う世界が生まれることになるはずです。これは断言しても良いと思います。(おわり)
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