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2020-09-14 00:00
(連載1)自動車産業の中国依存というリスク
倉西 雅子
政治学者
さる8月19日に公表されたWTOの推計によれば、世界の今年4〜6月期のモノの貿易指数は84.5となり、過去最悪を記録しました。こうした国際貿易の急激な落ち込みは、新型コロナウイルスのパンデミックに起因しているのですが、とりわけ、自動車関連の下落が著しく、その数値は71.8であったそうです。経済へのマイナス影響は、日本国の貿易収支をも直撃しているものの、日本国の場合、WTOが示す傾向とは逆の現象が観察されているのです。
同日、財務省が発表した7月の貿易統計によれば、全体としては減少傾向にあるものの、中国向け輸出のみは、前年同月比8.2%増の1兆3290億円となり、7月としては過去2番目の高水準というのです。中国向けの輸出を牽引しているのは、自動車(19%増)、並びに、自動車製造向けの非鉄金属(72.4%増)であり、半導体等製造装置(23.6%増)や半導体等電子部品(18.3%増)も高い寄与度を示しています。そして、日本国の対中輸出に占める二つの主要項目を見ますと、そこには、中国の国家戦略が見えてきます。
まず初めに、自動車産業における奇妙な動きが注目されます。国家統計局のデータによりますと、他の消費財の販売がコロナ以前の水準を下回る中で、7月に入りますと、自動車販売のみが20%もの増加率を示し、急激なリバウンドを見せています。日本車ですとトヨタのレクサスといった高級車の販売が好調であり、ホンダなども中国は前年並み、もしくは、前年を超える勢いだそうです。しかしながら、中国経済における個人消費の回復は弱含みとの報告がある中、どこか不自然な動きです。
日本からの自動車、並びに、非鉄金属の輸出増は、米中対立の最中にあってアメリカからの対中自動車輸出が減少し中国市場において日本車のシェアを伸ばした結果と思われます。ですが、自動車販売数そのものが一か月の間に20%も急伸したとなりますと、中国の国家的な思惑を疑わざるを得ません。中国当局が環境対応の自動車の購入に際して積極的に補助金を支給しているのもその理由なのでしょうが、今般の自動車への販売台数の増加は、全世界の自動車メーカーを‘人質’にとる作戦と見ています。(つづく)
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