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2007-06-28 00:00
東アジアのソフトパワーをグローバル・イシューに活かせ
岡本由美子
同志社大学教授
2007年6月15日付の石垣泰司氏による「『ハイリゲンダム・サミット』と東アジア」と題するCEAC「百家争鳴」の記事を拝見し、深く共鳴を覚えた。1960年代以降、世界が「東アジアの奇跡」と呼ぶようになるほど東アジア地域の経済成長は著しく、また、どの国を東アジア地域に含めるかによって多少違いはあるものの、間違いなく域内貿易比率の上昇率はどの地域よりも高い。しかるに、サミットのようなグローバルな舞台に目を向けると、東アジアの存在感がまるで感じられないのである。
一方、最近の欧州のソフトパワーには圧倒される。ちょっと前までは輝きを失っていたEUであるが、拡大と深化を繰り返し、90年代には到底不可能であろうと思われていた通貨同盟も、今や「大ユーロ圏」となって欧州全域に広がった。その結果、現在ではEU中央銀行総裁の世界における存在感は非常に大きなものになりつつある。また、地球温暖化ではEUは世界の先導役を果たし、グローバル社会に大きな影響力を持ち始めている。この背景には、政治・行政の徹底した環境シフトのみならず、低炭素社会に向けてビジネスモデルを構築しつつある産業界の動きがあることはいうまでもない。
これまでの東アジア地域における統合や協力の発想はどちらかというと、グローバルな動きを所与ととらえ、その中でどのような地域協力が可能かという問いかけが多かったように思われる。しかしこのような発想のままでは、多くの分野(たとえば、地球温暖化や会計基準等)でアメリカやEUの動きがデファクト・スタンダートとなり、東アジアはただただそれを受け入れるということになりかねない。IMFやWorld Bank のトップの人事に東アジアが影響力を行使できないとしても、これからは東アジア地域に存在する様々な強みを活かしてもっとグローバル社会にアイデアを提供し、それを実践に移す行動力が東アジアに求められるであろう。地球温暖化はいうまでもないが、例えば、アフリカ支援で東アジアが積極的に協力をし、アジアの経験をアフリカに活かすこともできるはずである。今後の東アジアのソフトパワーに期待したい。
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