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2020-08-25 00:00
(連載1)中国の野心が対米戦争を招く
加藤 成一
元弁護士
米国は、かねてより、中国による南シナ海における国際法を無視した人工島や軍事基地の建設など、南シナ海全域の軍事的支配に対して、これを国際法上不法として容認せず、同海域に空母や艦船等を派遣し、いわゆる「航行の自由作戦」を展開してきたが、最近の激化した「米中新冷戦」の影響を受けて、同海域での米中の軍事的緊張が高まっており、軍事衝突の危険性すら指摘されている。
このような国際情勢の不安定化を前に、筆者は、「米中戦争前夜」(藤原朝子訳2017年ダイヤモンド社)のなかで、ハーバード大学のグレアム・アリソン教授が指摘したことが、遠からず現実のものとなってしまうのではないかと、憂慮している。「米中戦争前夜」の著者であるグレアム・アリソン教授は、ハーバード大学ケネディースクールの初代院長であり、レーガン政権からオバマ政権まで国防長官顧問を務め、クリントン政権では国防次官補として大統領を支えた。したがって、米国におけるその影響力は今後も無視できないと言えよう。
同著では、古代ギリシャのアテネ対スパルタ、第一次大戦時のドイツ対英国、第二次大戦時の日本対米国など、新興国の台頭が覇権国を脅かして生じた「トウキユディデスの罠」で衝突した16ケースを解説し、米中両国は16ケースに該当するから、数十年以内に「米中戦争」が起こり得る可能性が高いと論証している。特に、北朝鮮や沖縄・尖閣の問題も米中戦争のきっかけになりうると指摘している。現下の米中の緊張の高まりを鑑みれば、傾聴すべき見解であろう。
実際、世界情勢は「米中戦争」を現実的なリスクとして動き始めている。在日米軍のシュナイダー司令官は、7月29日「尖閣奪取」を狙い東シナ海尖閣諸島周辺海域への侵入を繰り返す中国船について、日本の対応を同盟国として支援すると表明し、「尖閣防衛」に積極的に関与する姿勢を示した。日本の施政権下の領土については、安保条約5条による米軍の「防衛義務」が定められている。さらに、米国は1979年制定の「台湾関係法」に基づき、これまで、台湾防衛のため最新鋭戦闘機や地対空ミサイルなどの兵器を台湾に売却してきたが、最近台湾に対して米国政府閣僚が訪台し蔡総統と会談するなど、「台湾防衛」の確固たる決意を内外に示している。(つづく)
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