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2020-08-24 00:00
某米学者との国際情勢に関する対話
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
最近、日本の近代史および東アジア問題を研究している某米学者と対話したところ、その内容の内興味引かれるところを、ご参考までに紹介したい。小生より、最近の日本の風潮として、政治家は投票率のアップ、ジャーナリストや評論家は売り上げのアップ、それに勝ち抜くのが良いとの流れだと述べたところ、同人の回答は次のとおりであった。
国際情勢の分析や歴史認識問題などしんどい事実の積み重ねより、舌触りの良い、少し空想も混じるものが受けている。売れれば勝ちだというのは、我々自由圏、資本主義社会の欠陥かもしれない。政治のポピュリズムは今や、世界的な流れだ。日本は隣国の中国、韓国から歴史認識問題でたたかれることが多いので、カリカリしているところもある。それらへの反発で、ネットなどでは無法地帯的な論説も出ている。しかし、相手の土俵に乗るような真似は賢者のすべきことではない。その意味で、靖国神社においてその博物館の展示を外務省、防衛省におられた岡崎久彦氏の監修で、バランスのとれたものへ修正したのは良かった。以前のものは中国韓国を彷彿させる一方的なのものだった。某宮司がA級戦犯の合祀を独断で決め、今、世界の他の国々へも批判のタネを撒いたのはかえすがえすも残念なことだ。日本人は、今や日本は産業のみならず、各分野で後れを取っていると騒がしいが、自分の見るところ、一番大変なのは、国際分析家や新聞記者などのジャーナリストの世界かもしれない。相手国の嫌う話題も取り上げざるを得ないし、場合によれば、暴露した内容により入国差し止めなど食らうと本社の怒りを買いがちだ。首になれば行き場合もない。米の場合は東海岸がだめなら西海岸、中西部、あるいは世界の英字紙への就職も範囲にある。特に中国を題材にする場合は大変だ。中国についてこれだけ古典も知りその他深い知識もある日本人であるが、国際的な新聞記者と言えば西安事件を世界にスクープした、上海にいた松本重治ぐらいしか思いつかない。某新聞社は、中国政府のスポークスマンを務めた林彪事件を否定した記者が重用されたのは知られている。
(米中関係について)バイデンのバーチャル党大会での演説を聞くと、明らかに反知性のトランプに当てつけアイルランドの詩人の詩句を入れたりしているが、大衆向けではない。ハリス副大統領も黒人女性と言うだけの感じで、熱狂的に支持を受けそうにない。米は今、言われるようにコロナをはじめ、BLM騒動、果ては、トランプの売り物の経済の落ち込みへの対応に大変だ。しかし、いずれ何らかの形で落ち着くところには落ち着く。トランプは今、選挙戦目当てに激しく中国たたきを行っている。その最大の眼目は、最先端技術から中国を引き離すということだ。成功するかどうかは神のみぞ知るというところだ。自分の得ている最近の米での流れでは、今のやり方は、中国国内の強硬派を喜ばせるだけで、世界との協調を目指す、温和なグル-プ苦しめるだけだ、かえって対外強硬派を団結させるのみだとの見方も出てきている。中国側も、中国の駐米大使や裏チャンネルで聞こえてくる中国外交筋の発言でも「米への敵対より、協調路線」との声が強い。
(日中関係について)16日の尖閣諸島周辺での漁業解禁による中国漁船の襲来は今のところはない。19日には、河野防衛相と中国の駐日大使が会談した。サウスチャイナ・モーニングポスト紙は早速記事にしている。しかし、中国の海警局の船の領海侵犯は、引き続き続けている。これは1万数千人の規模しかない、日本の海上保安庁の出方をしぶとく試しているのかもしれない。中国は専制国家ではあるが、常にすべての動きが北京の指示で行われているのではない。文革の時、中国のあらゆる分野は下克上で崩壊してしまったが、唯一、軍だけは組織を守り通せた。そして、継続して優秀な人材を入れている。このことを忘れてはならない。
また、23日の報道では、習近平の韓国への正式訪問が決まったが、日韓両国訪問は前から決まっていたわけだが、韓国訪問が先になる、あるいは日本訪問取りやめの可能性も一部出てきた。国際情勢は一寸先は闇だ。これがどう転び日中関係にどう影響するのか注目される。
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