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2020-08-06 00:00
コロナ禍、企業存続に不可欠な「内部留保」
加藤 成一
元弁護士
国内外で猛威を振るう新型コロナウイルスの感染拡大により、外国人の入国制限や緊急事態宣言等に伴う外出自粛などで需要が落ち込み、日本企業は大打撃を受けている。その影響は中小零細企業のみならず、大企業も同様である。とりわけ、観光・ホテル・旅館・飲食・航空・運輸などのほか、需要の落ち込みによる影響は自動車産業などの製造業にも及んでいる。政府がいわゆる「GO TOキャンペーン」を前倒し実施したのもそのためである。
日本経済新聞などの報道によれば、JAL、全日空、HIS、三菱自動車、日産自動車などの大企業も、コロナ禍の影響で需要が落ち込み、過去最大の営業赤字を余儀なくされている。中小零細企業はさらに深刻な経営状態と言えよう。しかし、日本企業には約460兆円の「内部留保」(「利益剰余金」)がある。とりわけ、大企業はここ数年企業業績の拡大に伴い、年々「内部留保」を積み上げてきた。「内部留保」約460兆円は世界トップクラスである。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の金融緩和政策等による円安・株高による輸出産業を中心とする企業業績の大幅拡大が企業に潤沢な「内部留保」をもたらしたのであり、安倍政権の功績と言えよう(2019年3月30・31日付「百家争鳴」掲載の拙稿「アベノミクスは安倍政権最大の功績」連載1・連載2参照)。
このような潤沢な「内部留保」はコロナ禍の現在極めて重要な役割を果たしている。即ち、企業にとっては、コロナ禍で売上が減少し営業赤字に陥っても、従業員の人件費、固定費、管理費、賃料などの経常経費や、金利支払いなどの負担は変わらない。その場合に、潤沢な「内部留保」があれば、資金繰りなどにおいて当面の経営危機を乗り切ることが可能となる。企業の存続は、従業員の雇用の維持確保、下請け・系列企業の存続と雇用の維持確保を可能にすることは言うまでもない。
ただ、「内部留保」については、かねてより、共産党などの一部野党からは、大企業は「内部留保」をため込まず、従業員の賃金引上げに充てるべきなどと、否定的な批判が加えられてきた。野党の中には「内部留保」にも課税すべきとの強硬意見もある。しかし、安倍政権も経済団体等に対して、毎年賃金引き上げを強く要請し、経済団体等も要請に応じてきたことも事実である。今回のコロナ禍で前記の通り、「内部留保」が持つ企業存続への寄与役割と雇用の維持確保など、その重要性が明らかになった。その意味では、「内部留保」は当該企業にとって必要不可欠であると共に、日本経済にとっても必要不可欠である。我々は、コロナ禍を契機として、企業、雇用、さらに日本経済における「内部留保」の重要性を改めて再確認すべきである。
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