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2020-07-31 00:00
李登輝・元台湾総統ご逝去について
中山 太郎
非営利団体非常勤職員
今この稿を書いている時、テレビで李登輝・元台湾総統が逝去されたと報道があった。李は、世界の指導者の中でも、日本の良い部分を知りそれを台湾の人々のみならず世界に発信してくれた恩人だ。李は、蒋経国総統の下で副総統を務め、晩年糖尿病から体調を崩していた蒋経国を助け獅子奮迅の働きをした。蒋経国の決断で李は後継者となった。当時の台湾社会の外省人全盛の中では異例なことだった。その頃、日本の外交筋で、李と日本の大企業の某副社長の面会アポイントをアレンジしていた人間がこぼしていたが、この副社長は、当日になりつまらない理由でこのアポイントをキャンセルしてきたそうだ。当時、李は実質の総統代理であったので、一国の代表に何たる非礼だと怒りまくっていた。当時の通産省の人がいつもは企業側に立ち発言するのが、あの企業は「田舎者でーー」と頭をかいていた。
勿論、「田舎者」には良い田舎者と悪い田舎者がある。そもそも、日本の明治維新は、高杉晋作や西郷隆盛の田舎者なしではなし得なかったし、その後の近代化への道も大久保、伊藤なしには考えられない。尖閣の国有化をめぐり、中国で反日の嵐が吹き荒れた際、当時の中国のネット内容は今ほど規制が厳しくなく色々見れたが、在中のドイツの自動車メーカーの販売店が、店頭に大きな大万幕を出していた。それには「日本全土を焼き尽くせ」「日本人は皆殺しだ」と書かれてあった。知人の外務省のドイツ語堪能な人間に話したところ、吐き捨てるように「ドイツは西欧で田舎者なのだ」と言い、東北大災害の際の福島原発事故の際、西側の多くの大使館は大阪へ事務所を臨時に移転させるなどパニックになったが、とりわけドイツがヒステリー気味で、日本はもうだめだと叫んでいたと述べていたそうだ。
韓国の植物園における、安倍総理に似た人物が慰安婦像に土下座している図につき、怒っている人々は多いが、どこの国も叩けば色々出てくるのだ。どんなときにも冷静に、全体像を見極めるのが肝要だ。今、二階さんへの風当たりは厳しいものがある。しかし、人質になっている1万2千社の日本企業を捨てての無責任な行動はとれないのだ。
話題を変えると、最近、小山俊樹著『五・一五事件ー海軍青年将校たちの「昭和維新」』(中公新書)を読んだが、素晴らしい作品だ。当時の大恐慌に沈む暗い世相の中で高まっていた政党・財閥などに対する不満、反感で充満した社会の空気を背景に起ったものだ。一国の総理が暗殺され、責任者と目される海軍将校3名への死刑求刑に対し、判決は禁固15年以下の減刑であった。国民の激しい減刑嘆願運動の動きに押されたともいえようが、これによりその後の2.26事件や、軍部のやりたい放題が始まったのだ。考えさせられる話だ。
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