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2007-06-24 00:00
小国主義の弊害
山下英次
大阪市立大学大学院教授
確かにその昔、学校で、「日本は極東の小さな島国である」と習った記憶がある。そのせいであろう、今日の日本人は、この言葉を好んで使う。しかし、このように自分の国を殊更に卑下して表現する国民は他にいないのではないだろうか?いったい、誰がいつからこのようなひどくつまらなく、しかも事実に反する表現を使い出したのであろうか?日本人自身なのであろうか、それとも占領軍であろうか?
日本は、国土面積からいっても決して小国ではない。日本の地図を切り取り、同じ縮尺でヨーロッパの地図に重ね合わせると、はっきりするはずである。日本より国土面積の大きい国は、西ヨーロッパでは、フランス、スペイン、スウェーデンぐらいのものである。イギリスやイタリアは勿論のこと、ドイツも国土はわが国より狭い。また、日本の人口は、ヨーロッパ最大のドイツの1.5倍余りもある。無論、経済規模でもヨーロッパで、日本に匹敵する国はない。
すなわち、日本は、好むと好まざるとにかかわらず、まごうことなく世界の大国のひとつである。むしろ、そうした意識を国民全員が正しく持つことが必要とされる。何代か前の駐日韓国大使が、「日本は井の中の蛙」ならぬ、「井の中の象」のようだと語ったことがある。すなわち、自分の図体の大きさが良く分かっていないのではないかという意味である。日本が、もし「極東の小さな島国」だというのなら、ユーラシア大陸の西の端に、それとそっくりに対応する国がある。イギリスである。私は、しばらくイギリスに住んだことがあるが、イギリス人が、「イギリスは極西の小さな島国である」などと表現するのを聞いたことがない。
このような国民の間に広がる小国主義の弊害は大きい。こうした小国主義は、外交政策にも悪影響を及ぼし、このコラムでも私がしばしば指摘してきたように、アジア統合におけるわが国のリーダーシップの欠如となって現れている。われわれは、自分の図体を正しく認識し、国として、それにふさわしい行動を国際社会で果たしていくべきであり、それがむしろ世界全体の厚生につながる。英国BBCと米国のメリーランド大学が行なった、国際社会に対して最も好ましい影響与えている国はどこかという国際的な世論調査では、日本は、昨年、単独世界第1位で、今年は、カナダと並んで第1位を分けた。第3位は、2年続けてフランスであった。他方、昨年の最下位は、イランであったが、下から2番目はアメリカであった。われわれは、自分たちの価値観に、もっと自信をもってよいのである。
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